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イベントレポート

エンジニア組織の実力を引き出すマネジメントと生産性可視化 ー 澤円氏×ファインディ対談

エンジニア組織の実力を引き出すマネジメントと生産性可視化 ー 澤円氏×ファインディ対談

開発組織の生産性向上において、適切なマネジメントと業務の可視化は欠かせません。しかし、エンジニアの生産性を測る指標の設定や、アジャイル開発時代に合わせたマネジメントのあり方など、多くの課題が存在します。

今回の対談では、「エンジニア組織のマネジメントと業務の可視化」をテーマに、株式会社圓窓代表取締役の澤円氏と、開発組織の生産性可視化ツールを提供するファインディ株式会社Findy Team+事業部 副部室長の内田博咲也が、実践的な改善方法について語りました!

目次

登壇者紹介

澤 円氏(以下、澤):株式会社圓窓代表取締役の澤と申します。私は1993年に社会人になり、5年ほど日本企業に勤めた後、1997年からMicrosoftで働いていました。2005-6年の頃にマネージャーへキャリア転換をしまして、最後はMicrosoftテクノロジーセンターのセンター長とサイバークラウドセンターの責任者を務めておりました。 自己紹介

2020年に独立し、企業向けのコンサルティングや、エバンジェリスト活動、執筆活動、メディア出演などをしております。また、武蔵野大学のアントレプレナーシップ学部で専任教授も務めております。よろしくお願いします。

内田 博咲也氏(以下、内田):ファインディ株式会社でFindy Team+事業部の副事業部長とセールスのマネージャーをしている内田と申します。セールスの中でもフィールドセールスとインサイドセールスを担当しており、現在15人くらいのチームのマネージャーをしております。 自己紹介2

前職はデロイトトーマツコンサルティングという経営コンサルの会社で3年半、全社戦略や長期戦略、ジョイントベンチャーの立ち上げなどの支援をしておりました。本日はよろしくお願いいたします。

エンジニアの開発生産性とは?

名称未設定2 内田:開発生産性と言っても、大きく2種類の生産性がございます。

1つ目が開発組織の中でアウトプットをいかに増やしていくかという生産性。2つ目がビジネス価値を増やしていくという方の生産性です。開発組織としてのリソースを投入したものに対してのアウトプット、アウトカムを生産性と言っていて、それが開発現場よりのところのアウトプットになると前者のものになりますし、もう少し経営寄りやビジネス寄りになってくると後者のものになってくる、そんなイメージです。

:セールスの計測ってすごく簡単じゃないですか。その一方で、エンジニアの生産性の計測というのは、すごく難度が高いと感じませんでした?

内田:めちゃくちゃ感じましたね。というのも、コーディングや機能開発をしているところから、いわゆる一般的な生産性として認知されている売上・利益といった指標との接続が、パッと見て遠すぎて見えないというところが最初にありました。

一昔前だと、書いたコードの行数で測るという話もあったんですが、優秀なエンジニアほど端的なコードで分かりやすい処理を書くということがありますよね。そうなると、行数で見ると生産性が低そうに見えるんですが、その人が出す価値は大きい。じゃあ何で測るのか。

また、開発したものへのレビューが返ってくるまでの速度の早い遅いも人によって異なりますよね。それを客観的に1つの指標で見えるようになると大きいという話もありまして。

:そこら辺の単位の違いをいかに揃えていくのかというところと、その1時間が本当に価値を生むのかということも証明をしないと納得はできない。 かといってルールばかりで縛ってしまうと、これまた働きづらいということになってきます。 そこで重要になってくるのがマネジメントということなんですかね。

エンジニアをマネジメントするとは?

ビジョンをつくる :エンジニアのチームをマネジメントするというのは、いろんなところで悩みの種になっているという印象がありますが、そこについては体験値としていかがでしょうか。

内田:クライアントの方からもいただく声として非常に多いですね。今、システム開発・プロダクトが事業の根幹になりつつある中で、エンジニア組織はどんどん急拡大しながら、開発のアウトカム・アウトプットを高い状態で保たなければいけない状況です。 マネージャーは非常に必要なのですが、なりたい人は少なくて、最初に起こるのはマネージャーが足りなくてチームのパフォーマンスを最大化できていないという問題です。

:僕はマネージャーの仕事って何ですかと問われた時に、一言で「メンバーが全力疾走できるように前方の道を掃除する人」という言い方をするんです。コンディションを整えて、「はい、どうぞ」と言って走ってもらう。これがマネージャーの仕事だと考えています。

ただ、日本における「マネジメント」や「マネージャー」というところで、非常に気に食わない言葉があって、それは「管理職」という言葉です。管理というのは人間がやらなくてもいい領域なんです。 それに「職」なんてつけちゃうから、管理していることが仕事になってしまっている。これがそもそもおかしいというのが私の持論です。

内田:私もいろんなクライアントの方とお話しさせていただいていて、絶対にあるなと思うのが、ゴールをここだよと明確に伝えて、そこに向けてみんながパフォーマンスを最大化して走れるようにすることの重要性です。

みんなが好きな方向に好きなように走ってしまうと、チームのパフォーマンスは最大化されません。そこでゴールを示した上で、走っていく上での障害を事前に取り除いていく。これがマネージャーとして理想の状態なんじゃないかと思います。

:マネージャーの仕事として最も大事なことは、これはマイクロソフト時代に言われていたことなんですが、「ビジョンを作ること」です。ビジョンというのは、さっきゴールとおっしゃっていましたが、仕事って必ずしもゴールがあるとは限りませんよね。

例えば、運用というオペレーションの部分は、ゴールが曖昧になります。継続していくことが大事になるので。 もっと言うと、アジャイル開発というのは、ずっとサイクルを回していくという感じになるので、ゴールというものがないんです。そんな時にビジョンというものを決めると、何か困った時にその方向を見て走ることができる。

コンディションを整える 「北極星」がビジョンだ、という言い方をよくするんですが、北極星は動かないので目印になる。それを中心にしてみんなが船旅をしていた。それによって世界を旅することができるようになったように、マネージャーの仕事はビジョンを決め、そのビジョンに向かってみんなが働けるようにコンディションを整える、この双璧だと思っています。

「確認」が開発のボトルネック

スムーズに回転

:アジャイル開発は、ずっと回していく状態ですから、最も重要なのは、スムーズにその回転ができることです。車のように、すっと回る状態にしなければいけない。そのためには、引っかかりがないようにする必要があります。 その引っかかりって何によって生まれるのかを認識しなければいけないのですが、実は「確認」というのがボトルネックなんです。

確認というキーワードが、いろんなところでボトルネックを引き起こしています。特にウォーターフォールでは、プロセスが分かれていて「確認、確認、確認」という風になっていました。そうする方が精度の高いものが作れるというロジックで、そういう構造になっていたと思うんですが、これはアジャイル開発には非常に相性が悪いんです。

回そうという時に、確認というのは回転を止めることに繋がりかねません。だから、回っている状態を維持するという考え方をしなければいけない。回っているかどうかを止めて調べるというのは、明らかにボトルネックを生んでいる状態なんです。

内田:今のその確認がネックになっているという話と、確認したとして次に繋がらない、改善に繋がっていかないというのは、非常に多く見られる問題ですね。

課題を放置することによる悪影響

可視化されていないと

:エンジニアの働き方の中でボトルネックがあったり、何か欠けている部分があったりするのを放置することで起きる問題については何かありますか?

内田:開発組織としてのパフォーマンスを最大化していく上で、2つあると思っています。

1つ目が技術負債と呼ばれるものが溜まっていってしまうという問題です。これを放置してしまうと大きくなってしまいます。継続的に一定の割合を割いて改善していった時の、トータルで見た時のアウトプット量の増加については、弊社のエンジニアがブログでまとめてくれているのですが、小さな改善を重ねていった方が良いということが示されています。

もう1つが、先ほどからお話させていただいているマネジメントの部分です。成果を出すための仕組みだったり、そういったものが、人数が少なかったり組織が大きくなる前に発生していた問題をそのまま放置したまま大きくなってしまうケースです。これを放置するのではなく、つぶさに改善を重ねていくことが重要だと思います。

:可視化されていない状態だと、それが問題だという指摘のしようがないですよね。改善しなければいけないところを指摘すると、エンジニアとしては非常にストレスになると思うんです。「自分が否定された」「人格否定された」「ハラスメントだ」という騒ぎになりかねません。

でも、そうではなくて、「ここを改善すればパフォーマンスが良くなる」というシンプルな話なんです。それが納得できれば、改善に取り組みやすくなります。人にフォーカスするのではなく、何がいけないのかというプロセスだったり、成果の出し方に課題を見つけて改善していく。これは非常に重要なポイントだと痛感しています。

エンジニアが働きやすい環境と「採用」の課題

働きやすい環境

:実際に「Findy Team+」を使って様々なものが可視化された際にどんなメリットが生まれたか、具体例を教えていただけますか?

内田:弊社のサービスを使って様々なものが可視化され、具体的なメリットとしては、アウトプットの生産性が改善したというお声をたくさんいただいています。テックブログなどでも書いていただいていますが、例えば開発し始めてからブランチにマージされるまでの時間が1/10になったとか、定量面での改善が見られます。

また、レビュー待ちの時間がボトルネックになっていたけれど、「これってみんなそうだと思っていたから、あえて言わなかった」というところが、データで可視化されることで、「この人にレビューが溜まっているから時間がかかっていたんだ。じゃあチーム全体で分散させよう」という改善につながり、結果としてみんなの開発スピードが上がって、開発しやすくなったという声もあります。

:まず大事なことは、働きやすい状態でエンジニアに働いてもらうことです。そうすると何が起きるかというと、辞めないんですよね。リテンションリスクの軽減につながるんです。これは今、エンジニアの獲得競争が激しい中で、非常に重要です。

内田:それこそ、採用広報やIRにもご利用いただいているところがあります。やはり、開発しやすい環境をいかに整備できているか、その中でエンジニアがいかにパフォーマンスを発揮できているかということを広報することで、採用にもつながっています。

:今、ありとあらゆる業界の中で最も重要な課題は採用です。少子高齢化で労働人口がどんどん減っていく中、優秀なエンジニアは元々母数が少ないにも関わらず、さらには海外に流出してしまう。そうなると、とにかく定着して働いてくれる人を増やしていかなければいけない。開発生産性が低い現場は、真っ先に淘汰されてしまいます。

Findy Team+サービス紹介

Team+サービス紹介 内田:「Findy Team+」では、メインで可視化できるのが冒頭申し上げたアウトプット量の可視化と改善です。トレンドになりつつあるFourKeysの可視化から、開発現場のボトルネックに紐づくところまでが一気通貫でできるのが強みになっています。

今後については、ビジネス価値から逆算した時の開発組織の生産性も見れるようにしていきますし、それこそもっと多面的に見れるフレームワークとしてSPACEフレームワークなどにも対応予定です。ぜひご期待いただければと思います。

本日はご視聴いただきありがとうございました。開発現場の課題から経営レイヤーの課題まで解決できるサービスとなっています。プロダクトだけではなく、カスタマーサクセスというクライアントに伴走しながら一緒に改善をサポートしていくメンバーも揃っていますので、ご不明点・気になるポイントありましたらぜひ気軽にご相談ください。

AIの進化が後押しする、エンジニア躍進の新時代

:今、DXというキーワードがあちこちで言われていて、だいぶ手垢が付いた感じがしますが、その一方でエンジニアの人たち、あるいは情報システム部門の人たちの役割の重要性は非常に高まっていると思います。

ただ、その人たちを大事に扱うやり方が、今まで日本は本当に下手だったなと私は肌身で感じています。 でも、今は流れが来ています。もう我々の時代です。エンジニアが今、どんどん注目されているし、そして仕事が面白くなってきています。これからもどんどん面白くなっていくと思うんですね。

生成AIなんかもどんどん発展していって、それとうまく付き合える人間というのは、ビジネスでも成功できる。そういう世界観がもう既に来ていますので、エンジニアの方々には、ぜひ世の中をもっともっと面白くする、そんな仕事をしていきましょう。

内田:本日はお時間をいただき、ありがとうございました。

:こちらこそ、ありがとうございました。

本動画の撮影日は2024年3月26日です。

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