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チーム単位での開発生産性スコアが優れたチーム〜アジャイル開発手法部門〜

「Findy Team+ Award 2024」 は、「Findy Team+」を利用する企業のエンジニア組織を対象に、生産性指標をもとに評価し、約450社・約20,000チームの中から優れた開発生産性や取り組みを実現しているエンジニア組織を讃える取り組みです。
本記事では、Team Awardを受賞した、チーム単位での開発生産性スコアが優れたチーム〜アジャイル開発手法部門〜について、受賞企業の取り組みをインタビュー形式でご紹介します。
and factory株式会社
受賞企業代表プロフィール
氏名:中島 学 役職:VPoE 経歴:IoTを活用したサービスの開発に従事したのち、現在はVPoEとして開発生産性向上にむけ尽力している。
開発生産性可視化について・Team+導入に関して
Team+の活用を通して目指している姿
大きく2つあります。 1つ目は、エンドユーザーに価値を届けるスピードを上げることです。 これは開発生産性に深く結びついていると感じていて、開発生産性の改善によってリリースサイクルを早められれば、ユーザーに価値が届けやすくなると考えています。 2つ目は、メンバーが気持ちよく、楽しく開発できる環境を整えることです。 自分の行動が可視化されることで成長が実感できるようになり、モチベーションも高くなるという、良いサイクルを生み出してくれることを期待しています。この延長として開発者体験の向上に繋がり、間接的にプロダクトにも良い成果をもたらしてくれるとうれしいです。
それに向けて取り組んだ結果、どのような効果を出せているか
エンドユーザーに価値を届けるスピードを上げるために、まずはプルリクエストのオープンからマージまでのリードタイムを24時間以内にすることを目標に掲げました。
エンドユーザーに価値を届けるという観点では、ビジネスサイドとの連携も必要になってくるため、数値改善が難しい部分も出てきてしまいます。しかし、プルリクエストのオープンからマージまでのリードタイムだけであればエンジニアだけで改善することが可能な指標と考えましたので、この指標の改善に取り組みました。結果として、多くのプロダクトでリードタイム24時間以内を達成することができました。開発者体験の向上については今後取り組んで行きたいと考えています。
なぜそのような効果が出せたのか
定期的にメンバーとマネージャーとで振り返りを実施しており、メンバーの意識が少しずつ変わっていったことで達成できたと考えています。
決して難しいことをするわけではなく、小さい粒度でプルリクエストを出してプルリクエストを見るための心理的なハードルを下げるようにしたり、Slack通知を活用してプルリクエストが放置されていたら発見できるようにしたりと、意識や仕組みを少し変えるだけで改善できることが多いと感じました。そのため、文化を根付かせるつもりでコミュニケーションの頻度を増やし、メンバーの意識が変わるように取り組んでいきました。
今後、チャレンジしていきたい取り組み
エンジニアだけで改善可能な指標としてプルリクエストのオープンからマージにフォーカスしていましたが、こちらに関しては一定の成果が得られたと思いますので、今後はプロダクト全体のサイクル改善にチャレンジしていきたいです。
具体的には、VSMを作成してビジネスサイド含めてボトルネックがどこにあるのかを可視化していきたいです。よりピンポイントに改善点が見えてくると思うのでビジネスサイドも巻き込みながら改善していきたいと考えています。
また、エンジニアの指標改善においては、各メンバーが自分たちで問題を発見し、自律的に改善に取り組んでいけるような組織を作っていきたいです。
株式会社グロービス
受賞企業代表プロフィール
- 氏名:沼田 重太朗
- 所属部署名:SREチーム
- 役職:エンジニアリングマネージャー
- 経歴:大手SIerなどで金融機関向けのインフラ開発・運用などに従事した後、2020年より現職。
開発生産性可視化について・Team+導入に関して
Team+の活用を通して目指している姿 SREチームの仕事は、開発チームからの依頼など、チーム外と密接に関わっている場合も多いです。そのため、Pull Requestはなるべく早くレビューしてマージしていこうという機運が、元からチーム内にはありました。Findy Team+を通じてチームの開発生産性を上げるというよりは、何か問題や課題が起きているときにすぐ気付けるよう、健全性指標のような形で活用しています。高いパフォーマンスを継続的に発揮できるようなチームが、我々の目指している姿です。
それに向けて取り組んだ結果、どのような効果を出せているか 主にFindy Team+の「チームサマリ」を毎週確認していますが、マージまで長くかかっているPull Requestがあった場合などにすぐ気付くことができ、チームの変化を察知するのに役立っています。各種のスコアが大きく揺らぐような機会は少なく、安定的に良い状態を保つことができています。 またメンバーによっては、自身のコンディションを把握するのにFindy Team+を活用している場合もあります。その際も、むやみにスコアの改善を狙うのではなく、ありのままのスコアを受け入れながら自己分析をするよう、1on1を通じて促しています。これによって自身を客観的に振り返る機会を得られているようです。
なぜそのような効果が出せたのか 弊社ではリモートワークも積極的に活用していますが、それもあって常にSlack上で密なコミュニケーションを取るように心がけており、レビューの依頼もSlack上で行います。チーム全員がレビュアーという態勢なので反応も速く、レビューを通して知見の共有が進み、さらに開発効率を上げていけるという好循環が生まれています。 どうしてもわかりにくい部分などは、Slackハドルを使ってその場でモブレビューすることもありますし、スプリントを振り返るタイミングで質問などを行える時間も確保しています。一定の生産性を出すには、とにかくコミュニケーションが要だと思っています。
今後、チャレンジしていきたい取り組み SREチームは事業チームとは分かれた態勢となっているのですが、チケットや依頼のやり取りを行っていてはコミュニケーションロスも大きいため、事業側の開発者から直接Pull Requestを送ってもらう運用も進めています。現在はSREが作成したPull Requestを中心にスコアなどを見ていますが、チーム間を越境してやりとりされたPRにフォーカスして見てみるのも面白いのではないかと考えています。
株式会社HRBrain
受賞企業代表プロフィール
- 氏名:鈴木 悠大
- 役職:CTO
- 経歴:2018年1月にHRBrain入社。前職では高スパイクかつ高負荷アクセスに対応するアプリケーションの開発やログ解析基盤の開発などを行ない、複数のサービスでシステム責任者を兼任。サーバーサイド、フロントエンド、インフラ、データ解析など幅広く携わる。HRBrain入社後、サービスのフルリニューアルや新規プロダクト開発を主導。現在もサーバーサイド、フロントエンド問わずコードを書いている。
開発生産性可視化について・Team+導入に関して
Findy Team+の活用を通して目指している姿 私達の開発組織では「良いものを高速かつ継続的に開発できる組織」を目指しています。 これまで自分たちでもFour Keysの数値を集計していましたが、適切な活用方法が見つからず、チーム全体の開発プロセス改善に課題がありました。 Findy Team+の活用を通して、各リードタイムを可視化し、開発プロセスのボトルネックを明確に把握することで、「良いものを高速かつ継続的に開発できる組織」の実現に繋げていきたいと考えています。
それに向けて取り組んだ結果、どのような効果を出せているか レトロスペクティブにて、リードタイムが長くなっているPRを取り上げることで、開発プロセス(PR粒度・タスク分解粒度・ブランチ戦略など)について議論するようになり、プロセス改善に向けたTryが生まれるようになりました。 タスク化された明確なTryだけでなく、メンバーそれぞれの意識や取り組み方も変わり、PRの変更行数の減少やリードタイムの短縮に現れるようになりました。
なぜそのような効果が出せたのか Findy Team+によって、具体的なデータに基づいた議論が活発化することで、チーム全体の開発生産性の向上に繋がっていると感じています。 また、数年前から取り組んできた開発者体験向上施策によって、開発組織横断での仕組み化は進んでおり、チーム単体ではプロセスの改善というところに集中できていることも大きいと思っています。
- Cloud Runを用いたブランチデプロイ環境の構築
- Monorepo化によるCI/CD管理の効率化
- Feature Flagを活用したトランクベース開発の推進
- tiltを利用したローカル開発環境構築の自動化
- Google Cloud Workstationsを用いたリモート開発環境の構築
- GitHub Actionsによるリリース自動化
- プロダクト横断のUIコンポーネントライブラリやデザインシステムの整備
- mablを利用した回帰テストの自動化
- GitHub Copilot/Gemini Code Assistを利用したコーディング支援 などが大きな要因だと考えています。
今後、チャレンジしていきたい取り組み 今後も、生成AI/LLMを始めとした新しい技術を積極的に導入し、さらなる開発生産性の向上を目指し、開発組織全体で開発効率をさらに高めていこうと考えています。 そして「良いものを高速かつ継続的に開発できる組織」を実現し、マルチプロダクト化へ貢献していきたいです。