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開発生産性向上が採用力とブランド力強化に直結。「開発生産性Award2023」を受賞したGO株式会社の取り組みとは?
本記事のサマリ
◆導入前:解決したかった課題
開発メンバーは増えたものの、経営層から見るとアウトカムにつながっている状態ではなく、エンジニアの生産活動を定量化して経営層に提示する必要があった。
◆Findy team+を導入した理由
マネージャークラスはそれぞれでGitHubでアウトプットの量について調査していたが、個人の力に依存するような形。生産性可視化ツールを探したなかで、Findy Team+には可視化においてほしい機能が既にそなわっていたため。
◆導入の決め手
マネージャーがほしい情報を手作業で取得するのに時間がかかっていた。必要な機能があり、高い費用対効果が見込めることからFindy Team+の導入を決定。
◆導入後:成果
組織が拡大していく中で、中途社員のオンボーディングのチェックが困難になり、目標を達成するのが難しい状態となっていた。導入によって、目指すべきアウトプットの水準に関するコミュニケーションが容易になり目標達成できるようになった。
目次
開発生産性の向上が採用力とブランディング強化に直結。「開発生産性Award2023」を受賞したGO株式会社の取り組みとは?
■プロフィール 待鳥 了氏 GO株式会社 バックオフィス基盤開発部 副部長/グリー、ビザスクを経て、2017年に株式会社ディー・エヌ・エー入社。事業統合後のGO株式会社ではバックオフィス基盤グループのマネジメントと開発に携わり、2021年6月から現職。
■プロジェクト バックオフィス基盤グループはタクシーアプリ『GO』に関するシステムを担当。決済システムや、売上をタクシー事業者とGO株式会社に仕分けするシステム、タクシー事業者が1日の売上額などを確認する管理画面、そこから拡張し、リアルタイムでタクシーが走っている場所を把握するための管理画面、電話予約対応を取り入れているタクシー事業者向けに日常のオペレー
パフォーマンス重視の筋肉質な組織作りを目指す
「移動で人を幸せに。」をミッションに、タクシーアプリ『GO』をはじめとするモビリティ関連事業を展開するGO株式会社。同社では、エンジニア組織における個人のパフォーマンスの振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用いただいています。 今回は、GO株式会社 バックオフィス基盤部で副部長を務める 待鳥了氏にインタビュー。開発生産性の計測にあたって「Findy Team+」を導入した理由や運用方法、取り組み後にどのような変化があったかなどについてうかがいました。
──御社の組織規模や、技術本部の体制について教えてください。
待鳥 了氏(以下、待鳥):開発組織は200名ほどの規模で、ソフトウェア開発を中心とする開発本部とハードウェア開発を中心とするIoT本部の2つがあります。開発本部はソフトウェア開発統括部・AI技術開発部・技術戦略部の3部署があります。ソフトウェア開発統括部はユーザーシステム開発部(20名)・バックエンド開発部(20名)・バックオフィス基盤開発部(30名)に分かれています。さらに2024年6月からWebプロダクト開発部も新たに発足いたしました。ソフトウェア開発統括部全体としては正社員・派遣社員を含む80名ほどが在籍しており、そのほか業務委託で働いているエンジニアが約10〜15名います。
──開発組織では、どのようなミッションを掲げていますか?
待鳥:ヘッドカウントが増えた中でパフォーマンスを重視したいと考えており、筋肉質な組織作りを目指しています。現場のメンバーが理解をして納得しているかどうかはわかりません。状況的にそうせざるを得ないという雰囲気はあります。ただし、トップダウンからのミッションとして伝え方には工夫をするようにしています。
FindyTeam+の実験的導入で得られたアベレージ値と評価に組み込むまでのステップ
──開発生産性の計測に取り組み、ツールを導入しようとしたきっかけは何でしょうか? 待鳥:元々意識の高いマネージャークラスはGitHubを分析しながら、アウトプット量について調査をしていましたが、個人の力に依存するような形でした。開発メンバーは増えたものの、経営層から見るとアウトカムにつながっている状態ではなく、エンジニアの生産活動を定量化して経営層に提示する必要があったのです。そこで、開発生産性の計測ができるツールを導入することにしました。
──計測を行っていたなか、どのようなきっかけから「Findy Team+」に興味を持ったのでしょうか?
待鳥:代表的なツールは限定されていましたし、マネージャーが手作業でほしい情報を取得するのに時間がかかっていました。必要な機能があったこと、高い費用対効果が見込めることから「Findy Team+」の実験的な導入を決めました。
──「Findy Team+」導入後のゴールはどこに設定されていたのでしょうか?
待鳥:弊社は、エンジニア組織が増えてきたことから、業務委託のエンジニアのみのプロジェクト、社員のみのプロジェクトなど様々な雇用形態のプロジェクトがあり、それぞれの特色を把握する必要がありました。まずは、「生産性の低いプロジェクトをいかに底上げするか?」についての検討からスタート。その後、中途入社3ヵ月以内の社員の生産性向上についても可視化するようにしました。
──「Findy Team+」の活用について、難しかったポイントはありましたか?
待鳥:「Findy Team+」の活用についてはメンバー全体には秘密にして、まずは開発マネージャーと部長クラスのみが状況把握をするところから始めました。当初、部長クラスから「エンジニアの頑張りは定量指標だけでは判断できない」という懸念もありました。しかし、半年経過後には、「Findy Team+」によって、「安定した組織は平均的に30件/月のプルリクを創出できる」といった開発の波が可視化されていったのです。そのような6ヶ月平均の傾向をメンバーに伝え、「Findy Team+」活用について理解を深めるようにした結果、メンバーから反発はありませんでした。その上で、メンバーに使い方を説明し、目標設定や評価の参考資料として使うことを段階的に伝えました。
──現場のメンバーに納得してもらうためにどのような工夫をされましたか?
待鳥:6ヶ月間のプルリク数について詳細に説明しました。最初の1〜2ヶ月(要件定義の段階)のプルリクは10〜15件、リリース直前のプルリクは複数のメンバーが50件創出、結果、6ヶ月平均で30件と計測。単月で評価すべきではないことをメンバーに説明し、可視化の継続によってそのような平均値になることも提示することができました。また現時点のコンディションを認識してもらい、自分たちの基準値を外さないことが重要であると伝えました。
──現時点のコンディションを認識してもらうことを重視するのはどのような点からでしょうか? 私たちのプロジェクトは現場主体でプロダクトを改善していくのがなかなか難しいという問題があります。ステークホルダーが多く、関係者との調整の上で開発をしていくウォーターフォール型の開発です。そのため、開発期間もマラソンのように長めになる傾向があり、目先の開発スピードだけに注力すると誤った方向に行ってしまいます。ですから、私たちにとっては、現時点のコンディションを認識することが非常に重要です。
──「Findy Team+」導入の取り組みを通じて、生産性はどのように変化したのでしょうか?
待鳥:中途社員にとっては、目指すべきアウトプットの水準に関するコミュニケーションが容易になりました。オンボーディングでは、一週間以内に開発環境を作って最低限のOJTタスクのプルリクを出すことが目標でしたが、組織が拡大していくなかで、目標達成するのが難しい状態となりました。組織が急に大きくなると、段階的に引き継ぐべきことが引き継がれないままになってしまうので、非効率になってしまいます。
元々私はソフトウェア開発統括部の副部長でしたので、組織横断的に「Findy Team+」を導入することができ、生産性が可視化されるようになりました。結果、早期に課題に気づき、どのチームを改善すべきなのかも把握できて、一週間以内に開発環境を作るということもスムーズにいくようになったのです。
生産性の高さを評価され「開発生産性Award2023」受賞へ
──「Findy Team+」の活用企業約250社を対象とした「開発生産性Award2023」で、優れたエンジニア組織として選ばれました
待鳥:生産性の高さを外部から評価していただけたことで、自信につながりましたし、開発生産性が低くないということも社内でPRができました。アウトカムの課題はエンジニアの責任だけではないことも社内で共有できるきっかけになりました。
──受賞後に、御社ではどのような変化がありましたか?
待鳥:受賞だけに起因するわけではありませんが、品質管理部門でQAの確認時間が長いという点について改善の動きがありました。「Findy Team+」の活用はサーバーサイドがメインでしたが、QA確認時間の改善を目にしたアプリエンジニアやIoT部でも導入を希望する声が出てきたのです。より筋肉質な組織へ移行するため、導入によって生産性を可視化して改善につなげたいという機運が高まったのでしょう。受賞後には社内だけではなく、採用面でも大きな変化がありました。 「開発生産性Conference〜After Findy Team+ Award 2023〜」のパネルディスカッションで、フォント事業を展開する株式会社モリサワ システム開発部門の小室氏と一緒に登壇したことがあります。地方在住のエンジニアがその動画を視聴し、弊社の開発生産性の高さに魅力を感じ、カジュアル面談を希望されたことがありました。 また来場してくれた方に独自アンケートを実施したところ、アンケートの回収率も高く、他のイベントと比較しても面談を希望される方が多かったのです。イベントへの参加は費用対効果が高く、人事部だけではなく参加メンバーからも、来年もぜひ参加したいという希望がありました。
──今後の開発生産性計測・可視化のトライや「Findy Team+」活用の展望などについて教えてください。
待鳥:弊社ではまだ再現性のあるプロセスができていないので、改善するためのコツや運用方法などを確立し、社内や社外にPRできるようなものを作りたいと考えています。アプリチームでは、「振り返り」ごとにFindyTeam+をキャプチャを行い、付箋(ふせん)を貼りながら改善のための意見交換を行ってます。隔週で、リーダーが付箋を貼り、それに対し「こういう動きができてよかった」「ここはちょっと課題になりそうだ」といった意見をメンバーから募っています。付箋を貼ることで、例えば、「GitHubの自動マージの有効化機能を導入しよう」といった意見が現場から出てくることもあります。
また、マネージャー同士で改善事例を共有し、それぞれのチームで取り入れることにも取り組んでいます。例えばAチームが自動マージの有効化機能を使って成果が出たらBチームでも取り入れます。そのように横連携をしながら改善を進めているところです。意見交換を行うときはFindy Team+の「会議室」機能が役立っています。結果、メンバーの意見交換を体系的に経験できましたし、対外的にも公開できるレベルになってきたので、今後そうした点をPRしていきたいと思っています。 口頭だと開発生産性の取り組みはイメージしづらいかと思いますが、こうした具体的なイメージがあると、他社から見ても再現性があって、改善にも取り組みやすいはずです。
――それでは最後に、御社の開発組織についてのアピールをお願いいたします。
待鳥:開発生産性を可視化させるツールの内製化は大変です。「Findy Team+」はマネージャーが月に数回確認することで改善活動ができ、費用対効果の高いツールです。自分たちのコンディションを可視化できると、気づきが増えて、改善の提案ができます。結果、開発に対してよりよいプロダクトづくりの文化が形成されていくでしょう。 最終的にはユーザーに価値あるものを早く届けることを意識していきたいと思います。そのため、地道な改善への取り組みに一緒に向き合っていただける仲間を引き続き募集しています。弊社のそうした文化に興味を持たれた方はぜひご連絡ください。
※現在GOでは、エンジニアを募集しています。 GO株式会社 の求人 ※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/