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事務局主導で全社的な開発生産性向上を実現!中途採用100%のKINTOテクノロジーズ株式会社が取り組む価値基準づくりとは?
本記事のサマリ
◆導入前:解決したかった課題
中途入社100%の環境で、各エンジニアの価値基準や“当たり前基準”が異なり、メンバー管理に苦慮していた。また、全社的な開発生産性の可視化ができておらず、各チームの状況把握が困難だった。
◆Findy Team+を導入した理由
開発生産性を可視化し、組織全体で「かっこいい組織」作りを目指すため。特に、Four Keysの指標を中心に、各チームの状況を把握し、改善につなげたいと考えた。
◆Findy team+導入の決め手
「Findy team+」が提供するFour Keys指標の可視化機能が決め手となった。また、X(旧ツイッター)広告を見た社員の提案がきっかけとなり、社内で効果的に使用可能であることがわかったため。各チームが自主的に生産性向上に取り組む環境を整えられる点も魅力だった。
◆導入後:成果
プルリクのマージ数の向上やストーリーポイントの消化が2〜3倍に増加したチームもあり、具体的な改善が見られた。具体的な目標設定ができたことにより、チームとしてどのように動いていくかの共通認識がつくられるようになった。
目次
事務局主導で全社的な開発生産性向上を実現!中途採用100%のKINTOテクノロジーズ株式会社が取り組む価値基準づくり
KINTOテクノロジーズ株式会社は、トヨタグループのモビリティサービスやビジネスをテクノロジーで支援する目的で2021年4月に設立されたテックカンパニーです。トヨタグループ内でも唯一のBtoC・DtoC領域に特化した内製開発組織として、世界30カ国で展開するグローバルモビリティブランド『KINTO』関連プロダクトや、マルチモーダルモビリティサービス『my route』などの「クルマや移動とヒト」に焦点を当てた新しいサービスの開発・運用を全面的に行っています。
今回は、KINTOテクノロジーズ株式会社の開発生産性向上の取り組みについて、事務局を務める有留完氏と矢島卓氏、開発チーム所属の粟田啓介氏、中本 浩太氏、西田 明令氏にインタビューを行いました。「Findy Team+」の導入背景や、全社的な開発生産性向上への取り組み、そしてその成果について詳しくお話を伺いました。
他に類をみない「事務局」による、全社の開発生産性向上とは
――「事務局」とはどのような役割のある部署なのでしょうか?事務局としてのミッションを教えてください。
有留 完氏(以下、有留):事務局は2024年の経営方針の一つとしてかかげている「開発生産性の向上」を推進するための組織です。会社がどうあるべきかを我々から経営陣に提案すること、会社の状態を定義していくこと、社長や副社長が事業をどのように進めたいと考えているかを噛み砕いて現場に接続すること、この3つが私達のミッションだと思っています。
有留:事務局では各グループの状況を見ながら、次に生産性向上のためにツールを使ってもらえそうなグループへの宣伝や声かけを行います。また、カスタマーサクセス部門とのミーティング、契約周りの対応、経営層へのレポート作成なども行っています。
矢島 卓氏(以下、矢島氏):私自身も常に自分の役割は会社のいろいろな情報や人、モノのハブになることだと考えています。また、新たにツールを使いたい部署からの相談窓口となり、「すぐアカウントを払い出せますし、他の事例を知りたければ他のチームとつなぎますよ」という形で、いわゆる触媒や潤滑油のような存在を目指しています。
有留: 矢島はもともとエンジニア出身で、私は営業出身なので、役割分担が社内ではうまくいっていると思います。お互い持っている視点や考え方が違うので、そこを議論しながら進められているところがいいと思っています。
ーー「Findy Team+」にどのようなベネフィットを感じていますか?
有留: 「Findy Team+」のカスタマーサクセス部門のみなさんに入っていただいて俯瞰して指摘してもらうというのはすごく大事だと思っています。社内だと言いづらいことやどうしても議論になってしまいそうなところを「他社だとこうですよ」というのを俯瞰で言っていただけるというのはものすごい価値なのではないかと思っています。 まだまだ「Findy Team+」を使いたいチームがたくさんあるので、課題や使い方に違いはありますが、もっともっと広げていきたいと思ってます。
ーー今後の課題について教えてください。
矢島:各チームそれぞれで改善がされているものの、それを俯瞰して「会社としてこういう価値貢献できてますよ」と言うにはまだ積み上げ足りないと思っています。組織として成果が出ていることをキチンと言える状態になりたいということが課題かなと思います。
「かっこいい組織」にするために開発生産性を可視化
ーー粟田さんが所属されている部署名と役割について教えていただけますでしょうか。
粟田 啓介氏(以下、粟田):KINTO テクノロジーズ DBREグループのグループマネジャーをしています、粟田です。普段はプロダクトに関わるエンジニアではない人でも、データベースに触れるような状況を整えることを目指してツール開発や基盤づくりをしています。
ーー粟田さんが開発生産性計測を行おうと思った背景を教えてください。
粟田:組織として「かっこいい組織」にしたくて、かっこいいって何だろう、みんなが気持ちよく働けている状態ってなんだろうとか、今っぽいことをやっている、とはどんな感じだろうということを考えていく中で、開発生産性を計測できていることが一つのポイントではないかと思ったことが理由です。「Findy Team+」はFour Keysといった指標をすぐに見ることができたので導入しました。
ーー開発生産性を計測していくにあたって難しいと感じたことはありますか?
粟田:最初、どういう状態を目指していけばいいのかわからなかったことですね。開発生産性について2023年に目標設定ができて、より具体的なデータが取れてきました。それによって自分たちがどのように動いているかが明確に見えてきたため、チームでどのように動くのかという共通認識をつくりやすくなりました。
ストーリーポイントの消化数が約3倍に至った習慣化
ーー中本さんの所属する車のアップグレードサービス「KINTO FACTORY」が開発生産性計測に至った理由を教えてください。
中本 浩太氏(以下、中本):事務局が推進して会社全体として、開発生産性向上の仕組みが用意されていたことがきっかけです。私のチームは主にお客様向けのECサイトを開発・運用しています。「Findy Team+」の導入を決めた理由は、エンジニア間で偏りがないか、各メンバーの活動量やレビューの状況を可視化したかったためです。振り返りの際に「レビューが溜まっている」という意見が頻繁に上がっていたので、明確にしたいと考えました。
ーーレビュープロセスに着目されたとのことですが、「Findy Team+」のどの機能を使って見られていましたか?
中本:主にレビュー分析、サイクルタイム分析、コミットからの時間などの機能を使用しています。特に注目しているのはコミットからプルリクまでの時間、プルリクからレビュー開始までの時間、そしてレビューから承認までの時間です。これらの時間が長くかかっていることが分かったので、それぞれの段階を短縮する取り組みを考えて実施中です。
ーー各段階の時間短縮に関して、具体的にどのようにアプローチしていますか? 中本:具体的な取り組みとして、プルリクの上限数を設定しました。例えば、5個以上のプルリクが溜まっている場合は新しいプルリクを作成できないようにしています。これにより、既存のプルリクレビューに注力するよう促しています。
ーー次は、西田さんに伺います。西田さんのチームがどのようなことをしているのか、なぜ開発生産性計測に至ったのか教えてください。
西田 明令氏(以下、西本):私のチームは社内向けツールの開発を行っています。開発生産性計測を始めた理由は、会社全体でツールを使用している流れに乗ったことと、チーム内の生産性の把握ができていなかったためです。
ーー計測を開始して明らかになった課題はなんでしょうか。
西田:最初は、デプロイ頻度をタグベースで計測していましたが、その頻度が上がらず、指標が0か1程度で推移していました。1週間のスプリントで1回デプロイするかどうかという状況でした。スプリントでやるべきことが残ってしまうという課題がありました。
ーー課題に対して具体的にどのように取り組まれたのですか?
西田:アウトプットをしっかり出すことを意識し始めました。その結果、グラフ上でも明確に改善が見られ、ストーリーポイント※の消化も2,3倍に上がっています。
※ストーリーポイント:ストーリーポイントとは、主にアジャイル開発において、タスクの難易度や労力などを見積もるために使用されている測定単位
ーー今後さらに取り組みたいことはありますか?
西田:週1で振り返りを行い、数値を見る習慣はできてきました。今後は、さらに高めていくために明確な目標設定をしていきたいと考えています。目標の解像度を上げていくことが課題です。また、ECチームとは体制が分かれていますが、結局は1つの組織なので、知識のシェアなども積極的に行っていきたいと思っています。
—--事務局はどんな存在ですか?
西田:ツールについてはなんでも試せる権限がもらえていますし、困ったときはフォローしてもらえるなど、エンジニアにとってもマネジメント層にとっても心理的安全性の高い環境を整えてくれていると思います。事務局主導で「Findy Team+」の勉強会を開催してもらえるので、使うきっかけになっています。使う人が増えると、社内で使い方のシェアや困りごとの解消ができるので、積極的に使っていきたいですね。
──粟田さん、矢島さん、増住さん、中本さん、西田さん、ありがとうございました!
※現在KINTOテクノロジーズでは、エンジニアを募集しています。 KINTOテクノロジーズの求人
※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/
■プロフィール
粟田 啓介:Database Reliability Engineering Group Manager 2007 年、楽天株式会社に新卒入社。アプリケーションエンジニアから DBA まで経験し、2018 年、株式会社ビズリーチ (現 Visional 株式会社) へ転職。DBRE 組織設立や CCoE 組織のマネージャーなどで功績。2022 年、KINTO テクノロジーズ株式会社に入社。DBRE組織を設立し、Database におけるアジリティとガバナンスの両立を根付かせるための活動を行っている。
矢島 卓:Corporate IT Group / Assistant Manager 2011年に愛知県へUターン転職し、Webアプリエンジニア、スマートフォンアプリ開発、 サーバー管理者などを経験。メーカーにて情シス・IT統括マネージャーを務め、2023年、KINTOテクノロジーズ株式会社にコーポレートエンジニアとして入社。生成AI活用PJTと技術広報グループを兼任。
有留 完:KINTO テクノロジーズ株式会社 事務局 開発・編成本部 開発支援部企画 管理グループ 株式会社株式会社リクルートにて法人営業としてトヨタファイナンシャルサービス(TFS)グループを担当し、KINTO事業立ち上げ支援に従事。2022年2月よりKINTOテクノロジーズ株式会社に所属。現在は副社長直下組織にて、事業企画・組織開発・全社事業開発支援などに従事。
中本 浩太:KINTO FACTORY開発グループFrontend Engineer 2011年、新卒にて楽天株式会社入社。インフラエンジニアとしてスタートし、サーバー構築、ポータルサイト構築、フロントエンド開発チームのリーダーを経験。2023年、KINTOテクノロジーズ株式会社へ入社し、フロントエンドエンジニアとしてスクラム開発をグループへ展開中。
西田 明令:KINTO Factory 社内向けツール開発チーム 2016年、新卒入社したSler会社の開発案件でバックエンドを担当。2社目ではBtoB向けSaaSの開発に携わる。2022年、KINTOテクノロジーズ株式会社へ入社。決済プラットフォームのバックオフィス向け管理画面の開発後、KINTO FACTORYに参画し、ローンチから現在に至る。