Findy Team+導入から半年でサイクルタイムが20%近く改善。全社的な開発生産性向上を目指すエムシーデジタルの取り組みとは?
最新のテクノロジーや高度なアルゴリズムを駆使して企業の課題解決に取り組むプロフェッショナル集団、エムシーデジタル株式会社。同社では、エンジニア組織における個人の振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用いただいています。
今回は、エムシーデジタルでエンジニアリング部門長を務める中田さん、ソフトウェアエンジニアの伊藤さん、江﨑さんにインタビューを実施。開発生産性の計測に取り組んだ背景や、「Findy Team+」の活用方法などについてお話をうかがいました。
目次
世界中の産業のデジタルトランスフォーメーションを目指す「エムシーデジタル」
――最初に、皆さんのこれまでのご経歴や現在のロールについて教えてください。
中田:千葉大学大学院融合理工学府博士課程を修了後、2021年4月に新卒でエムシーデジタルに入社しました。現在はエンジニアリング部門長を務めております。
伊藤:東京工業大学情報理工学院情報工学コースの修士課程を修了後、2022年4月に新卒でエムシーデジタルに入社しました。エンジニアリング部門のメンバーとしてプロダクト開発に携わっています。
江﨑:東京大学大学院情報理工学系研究科の修士課程を修了して採用プラットフォームサービスの機能開発・運用に従事していました。その後、2023年8月にエムシーデジタルに入社し、エンジニアリング部門のメンバーとしてプロダクト開発に携わっています。
――御社の組織規模や、開発チームの体制について教えていただけますか?
中田:組織規模は、全体の従業員数が約80名で、従業員数の過半数はデータサイエンティストやソフトウェアエンジニアが占めています。設立が2019年と新しく、平均年齢は約30歳と若手が多いです。
――エムシーデジタルでは、どのようなミッションを掲げていますか?
中田:エムシーデジタルは、三菱商事株式会社の100%出資により設立された会社で「テクノロジーでビジネスモデルをアップデートする」ことをミッションに掲げ、三菱商事グループをはじめとしたあらゆる産業のDXを推進しています。
三菱商事グループが蓄積してきた膨大なインダストリーナレッジを元にデジタル技術を活用し、世界規模での事業変革を目指すと共に、これらの知見を元にビジネスモデルを外部にも展開することができると考えています。
具体的には、AI・数理最適化を活用したシステムや BtoB SaaSを、三菱商事が手がける多様な業界および世界各地の企業へ提供し、DXを実現することを目指しています。
――皆さんが所属されているチームについて、教えていただけますか?
江﨑:私は製造業向けのサービスを開発するチームに所属しています。チームでは「属人性や人手不足の問題を抱える製造業において、業務効率化によるものづくりの品質改善やコスト削減を実現すること」を目指しています。製造業における工程の最適化モデルを構築し、業務を改善するためのプロダクトを提供しています。
伊藤:私は物流業界向けのプロダクトを開発するチームに所属しています。物流業界には、「2024年問題」と呼ばれるドライバーのリソースの制限から生じる課題があり、私たちのチームでは、この課題の解決に向けた最適化のためのアプリケーションの開発を進めています。
今後の事業成長を見据えた開発生産性の計測
――会社として開発生産性の計測に取り組み始めた背景は何でしょうか?
中田:今後チームが増えていくことを想定し、複数のチームの状況を簡単に把握できるようにしておきたいと考えたことが、開発生産性の計測に取り組み始めたきっかけです。
開発生産性を定量的に可視化し、チームで振り返るプロセスを浸透できれば、開発者体験や開発プロセスを各チームが自律的に改善できる組織にしていけるのではないかとも考えていました。
――エンジニアとして、開発生産性の計測について興味を抱かれた背景と「Findy Team+」を導入されたきっかけと最終的な決め手を教えてください。
中田:開発生産性に対する興味は以前からあり、GitHubインサイトは定期的にチェックしていました。また、先ほどお話ししたように弊社のチームが増えることによって、私が直接マネジメントしているチーム以外の状況も把握する必要もありました。 そのため、これまで行ってきている1on1やチームミーティングによる情報収集以外にも開発生産性を計測することによって、各チームの状態を定量的に把握したいと考えておりました。
そんな時に、Findyさんが主催する開発生産性に関するセミナーに参加し、エンジニア組織の開発生産性の計測ができるツールがあることを知り、本サービスに強い興味を抱きました。 Findyの担当者様と導入後の運用方針やモニタリングしていく指標について相談していく中で、利用できるイメージが掴めたことが最終的な決め手となりました。
江﨑:チームに「Findy Team+」を導入しようと思ったのは、チーム内で開発プロセスについて客観的な指標をもとに議論したかったからです。
現在関わっているプロジェクトでは、ユーザーのフィードバックを迅速にプロダクトに反映させるフェーズにあるため、開発生産性が重要となっています。生産性向上のために開発プロセスを改善するにはメンバーの協力が不可欠であり、納得して改善に取り組んでもらう必要があります。
そこで、数値に基づいたアプローチを取り入れたいと考え、開発生産性の計測に興味を持ちました。弊社はアルゴリズムや理数系に特化したメンバーが多いこともあり、チームメンバーから導入に対する抵抗はなく、興味を持って一緒に指標を追ってくれました。
伊藤: 江﨑が言うように、エムシーデジタルにはアルゴリズムに精通したメンバーや、高い技術力を持つメンバーが多数在籍しています。そういったメンバーが適切にパフォーマンスを発揮し、プロダクトの品質向上と価値提供に繋げるための仕組みづくりに関心がありました。
そのため、現状を定量的に分析する一つの方法として、開発生産性の計測に注目していました。
「Findy Team+」導入後、サイクルタイムが20%近く改善
――「Findy Team+」の導入前は、開発生産性の可視化に関する取り組みをされていましたか?
伊藤:定量的な開発の振り返りはほとんどしていませんでした。各メンバーがそれぞれ定性的に課題を感じていましたが、その原因を言語化し、具体的な改善に向けたアクションまで落とし込むことが難しかったです。社内の他のチームでも同じような課題を抱えていたように思います。
江﨑:私のチームでもまさにその課題感はありましたね。
――「Findy Team+」導入後、チームの生産性に変化はありましたか?
江﨑:私のチームではプルリクエスト(PR)がオープンされてからマージされるまでの時間が20%近く改善しました。 チーム全体のサイクルタイムが可視化されたことで、開発プロセス内での課題を見つけやすくなったことが改善の理由だと考えています。
具体的には、1週間のスプリントが終わった後に「Findy Team+」でPRの一覧を全員で確認し、特に「オープンからレビューまでに24時間以上かかったPR」や「レビューからマージまでに24時間以上かかったPR」に注目して、その時間を要した原因をディスカッション・分析したことが生産性の向上につながりました。
中田: チームメンバーが改善したいポイントや改善に向けた行動を提案してくれる頻度が増えたと感じます。定量的な指標と改善の余地がある特定のPRについて振り返ることで、課題を深堀し改善案を考えやすくなったのではないかと推測しています。
「Findy Team+」の活用を広げながら、全社的な可視化へ
――可視化の取り組みや「Findy Team+」の活用について、今後の展望を教えてください。
中田:各チームが自律的に開発者体験やプロセスを改善できる組織にしていくために、可視化を活用できるチームを増やしたいと考えています。また、個々のチームの振り返りだけでなく、チーム間で学びを共有する際にも可視化を活用していきたいです。
江﨑:私のチームではサイクルタイムが安定した良い数値で推移できています。今後は他の指標にも目を向け、実際にアウトプットが増えているのかを定量的に追跡し、自分たちの成長を確認していきたいです。 また、他のチームにも再現性のある開発生産性向上のナレッジを共有できたらと考えています。
伊藤:私たちは、組織全体としてのプロセスの課題に取り組んでいきたいと考えています。そのためには、チームだけでなく組織全体で開発生産性を可視化し、データとして蓄積することが重要です。
まずは私たちのチームから取り組みの成果を出し、そのアプローチを他のチームでも活用できるように模索しながら広げていきます。 そして最終的には、開発組織の各チームの生産性をデータで確認できる状態を目指しています。
――それでは最後に、御社の組織のアピールポイントや、一緒に働きたいエンジニア像を教えてください。
中田:エムシーデジタルには、優秀で学習意欲の高いエンジニアやデータサイエンティストが多く在籍しています。お互いに知見をシェアしたり、ほかのチームでも課題を解決するサポートをしたり、切磋琢磨しながらよりよいものを作ろうという姿勢の社員が多いと感じています。 実社会の産業に価値を提供することに関心を持って取り組めるエンジニアの方と一緒に働きたいと思っています。
伊藤:オフィスでは、技術の勉強会から、趣味の活動会、真面目な座談会からカジュアルな雑談まで、さまざまな催しが頻繁に開かれています。開発プロセスに関する座談会もその一つで、他にも例を挙げると、機械学習や数理最適化を専門とするメンバーが最新技術の勉強会やコンペ・コンテストの反省会を開催しています。 また、ビジネス職と技術職が一緒にプロダクト開発の方法論について学び、議論を深める機会もあります。
一方で、ボードゲームやボルダリングなどのアクティビティを通して社員同士の交流を図るZ活動と言われる部活動や、単にお酒を愉しむような緩い催しも定期的に開催されていて、とても賑やかな雰囲気だと感じています!
江﨑:弊社では、個人の力を発揮しつつチーム・組織全体で成長することを大切にしています。例えば、月に一度「ENジョイ技術の日」というイベントがあり、技術力向上を図るために普段手が付けられていないことや、やってみたかったことにも挑戦ができます。
また、自己研鑽やチームビルディングの一環として、有志で集まって行われる勉強会などの活動に対する補助制度も用意されています。個人としても、組織で働く上でも成長したいと考えている方と一緒に働けたらうれしいです。
――皆さん、本日はありがとうございました!
※エムシーデジタルでは、エンジニアを募集しています。
※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。