開発生産性の高さを採用戦略の新たな切り口に。8名から開発者体験の向上を目指すPharmaXの取り組み
医療・医薬品領域で2つの事業を展開しているPharmaX株式会社では、2023年12月よりエンジニア組織における個人の振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用いただいています。
今回はCTO上野さん、エンジニアリングマネージャー古家さん、エンジニアの江田さんにインタビュー。導入のきっかけや、リードタイムが1/10に改善するなど早くも成果が現れ始めている背景について、お話を伺いました。
目次
テクノロジーを駆使して生活者が主役となる医療体験の実現を目指すPharmaX
――まず最初に、皆さまのこれまでの主な経歴や、現在の業務内容について教えてください。
上野:大学・大学院在学中の頃は研究室やインターンなどに取り組んでいました。その過程でやりたいことを実現していくために、統計や機械学習、データ分析、アプリケーション開発を独学で習得しました。2018年に新卒でコンサルティングの会社に入社した後、同年にPharmaXを共同創業しました。立ち上げ初期から開発を担当してきて、今は2事業部のチームを統括する傍ら、生成AI/LLM(大規模言語モデル)を駆使した事業推進・情報発信にも取り組んでいます。
古家:新卒でニフティ株式会社に入社、新規事業開発部でのスタートアップ支援やベトナムでのオフショア組織立ち上げ・マネジメントなどを経験しました。退社後にフリーランスとして独立してITスタートアップのグロース支援に従事してから、PharmaXにジョインしています。PharmaXに入社してからはデータエンジニアとしてのダッシュボード整備・データ活用推進に始まり、スクラムマスターを経てエンジニアリングマネージャーを担当しています。
江田:趣味の延長でプログラミングをするようになったのがきっかけで、在学中からバックエンドエンジニアとしてPharmaXでインターンをしていました。率直な意見を言える社風だったり、ミッション・バリューへの共感もあって大学卒業後にそのまま入社しました。入社後は、創業事業である「YOJO」の唯一の専任者として従事し、現在はスクラムマスターなども担当しています。
――PharmaXでは、どのようなミッションを掲げていますか?
上野:「患者満足度世界一」をミッションに、生活者が主役となる医療体験の実現を目指しています。創業事業としてかかりつけ医療ブランド『YOJO』、2022年からは薬局DX事業も展開しています。2023年には専任チーム『PharmaX 生成AI Labs』を立ち上げて、生成AI/LLM(大規模言語モデル)による事業推進・情報発信にも取り組んでいます。
生産性の可視化を通じて、スピード感と魅力あるエンジニア組織を目指す
――開発生産性の計測の取り組みを始めた、背景やきっかけを教えてください。
古家:PharmaXのミッションを実現するべく事業計画、さらには日々の施策を達成するためのスピードと質を向上させたいと考えていました。一方でプロジェクトが当初想定していた通りに進められず、期限のリスケや大きなリリースによるバグ発生といった問題が積み重なっていました。
そのため開発の正確な見通しやバグを減らすためにも適切な指標が欲しいと思ったのが、開発生産性の計測を検討し始めたきっかけです。
情報収集していく中で「DevOpsの科学」やt-wadaさんの資料にたどり着き、Four Keys(開発生産性の計測指標)の可視化に取り組むことを推進し始めました。
――「Findy Team+」の導入前は、開発生産性の可視化に関する取り組みをされていましたか?
古家:オープンソースやGitHubで公開されているライブラリなどを駆使し、独自に内製で計測・可視化しようと試み、その結果リードタイムを改善することはできました。しかしさらに深掘りをするためにデータを取得していこうと考えると保守にかかる工数が大きかったため、最終的には内製で着手することを断念しました。
上野:社内には2つの事業部がありますが、エンジニアは事業部を横断するチーム構成の「テクノロジー本部」に在籍しています。エンジニアは業務時間の85%程度で事業部の仕事に着手している一方で、残りの15%程度は組織運営や開発チーム強化に関する取り組みに注力してもらうという体制をとっています。開発生産性についても開発チーム強化の文脈で取り組みを進められていたと思います。
――「Findy Team+」のことは、どのようなきっかけで知っていただきましたか?
古家:開発生産性の可視化を内製で取り組む傍ら、開発生産性を計測するツールについて調査を進めていく中でFindy Team+のことを知りました。開発生産性を計測できるツールはいくつかありましたが、可視化できる指標・データが充実していて導入事例も多かった点で、Findy Team+の導入を前向きに考え始めました。
――「Findy Team+」の導入にあたって、社内ではどのように理解を得ていきましたか?
古家:経営陣に対しては、1on1で開発生産性について解説したり、今後の事業拡大に向けて会社として投資する価値を伝えるなどしていました。メンバー向けには指標のロジックについて説明しながら、Four Keysについて理解を得るよう進めていました。一方で、ROI観点での説得や理解を得るための資料作成、といったことはなかったです。開発チームで独自に設定されている「エゴから発展させよ」というバリューに基づいて、自身の実現したいことに周囲を巻き込んでいきました。
江田:古家さんが周囲を巻き込んで話を進めていく一方で、メンバー起点でも徐々に開発生産性への関心は高まっていたように思います。毎週個人的な取り組みを発表する場があったことで、生産性に興味をもったメンバーが積極的に可視化を行い、知見をシェアしていました。
――最終的に「Findy Team+」のどういった部分が導入の決め手になりましたか?
上野:経営観点で言えば、魅力的なエンジニア組織であることを外部に発信する指標・機会としてもFindy Team+を活用し、採用・広報にも活用できるのではないか、というのが導入の決め手となりました。
開発生産性の改善がビジネスの成果に影響を与えるようになるまでには時間がかかりますし、可視化するだけではエンジニア以外を説得するうえで限界があると感じていました。
一方で周囲のスタートアップを見ていると、エンジニアから魅力的な組織ほど開発生産性スコアを公開しているというトレンドがあり、着手しないことはむしろ自社にとってマイナスに影響するように思えました。
そして今の自社開発チームなら対外的に見ても良いスコアを目指せる、「Findy Team+ Award」の受賞も狙えるのではないかと考えました。
――実際に、2023年1月に実施したアンケートによると、求人応募や転職を考える際に、8割弱の方が開発生産性を重視していると回答しています。
(Findy調査より抜粋)
数値の可視化で意識・行動が変わり、自信にもつながった
ーFindy Team+を用いた日々の振り返り・分析などについてお伺いしたいです。
江田:チームでの振り返りは1週間ごとに実施していて、全体の1週間前での数値と目標値とを比較しています。具体的には開発生産性スコアサマリ、デプロイ頻度とリードタイム、チーム内アクティビティ、最近だとレビューサマリも確認しています。
- 開発生産性スコアサマリ
- デプロイ頻度とリードタイム
- チーム内アクティビティ
- レビューサマリ(オープンからレビューまでの平均時間)
各メンバーとは1on1で個別の振り返りを実施しています。例えばDevOps分析のプルリク一覧をリードタイム順で並び替えてみて、相対的に多かったプルリクを見ながら、ユーザーストーリーを細かく切り分けることを一緒に考えてみたりしています。
ー開発生産性を組織目標に紐づける中で工夫したポイントがあれば
古家:組織目標として、事業の施策スピードを上げることを目指しているので、リードタイムとプルリク数を開発チームの目標としてます。、具体的にはリードタイム平均23時間以内、プルリク数は1人2件以上/日で設定しており、週次で実施しているスプリント振り返りの際にFindy Team+のダッシュボードを参照しながら振り返りを行っています。 振り返りをするだけでなく、具体的な改善タスクの設定とそれに着手する時間を設定して、個々のプルリク数増加を試みたりしています。
また、各メンバーのOKR目標の管理においても、Findy Team+を利用しています。例えばOKRにプルリク作成数が設定されているメンバーとは、チームコンディション画面などを見ながら1on1で一緒に振り返りをしています。
ーその他にも開発チームやメンバーの意識・行動における変化などありましたでしょうか?
江田:ちょっとしたコード改修でも数値に反映される体感があり、ゲーム感覚で楽しみながら改善・成功体験に繋げられているように感じます。結果としてチーム全体で前向きなスタンスになり、プルリクを適切なリードタイムで出すようになってきています。
上野:リリース速度に対してチームがフォーカスするようになったのは大きかったです。これまでにリリースの重要性を言葉で伝えても組織に浸透しなかったところが、数値として目標が設定されたことでチーム全体での達成意欲が醸成されてきました。
ー改善の成果を共有する機会などはありますでしょうか?
古家:毎月末に全社で各チーム・メンバーの1ヶ月の成果を発表・賞賛し合うWin-Session(ウィンセッション)という場があります。先日も、リードタイムが1/10になって開発生産性が大幅に改善したことなどを発表しました。発表の際に使用するドキュメントでもFindy Team+ Labのダッシュボード画像などを引用したりしています。
これまで、最終的なアウトプットでしか経営陣の成果を伝えることしかできなかったのですが、開発プロセスの改善結果を数値で可視化ができるようになったことで、正確に開発組織の成果を伝えることができるようになりました。 その結果、開発生産性の数値改善を通じて経営陣からの信頼獲得につながっているように感じます。
上野:開発生産性改善のインパクトが数字として現れていることに対して、社内の開発組織以外でも一定の良い反応が得られていると感じます。
ーTeam+のおすすめポイントについてもお伺いしてもよろしいでしょうか?
江田:DevOps分析画面でのランク(*)、開発生産性スコアでの偏差値が表示されるのがすごくよいと思っています。開発組織の相対評価を見れるのは、自社開発や他ツールにはなかったTeam+独自の魅力だと感じます。
(*Findy Team+ の画面上に、DORAが開発のスピードと安定性を測る指標)
古家:レビュー分析はまさに数値として見たかった内容なのでとても重宝しています。自前で作ろうとした際にかなり困難だった部分でもあります。オープンからレビューまでの平均時間が可視化されたことによってチーム全体のレビューに対する意識が変わったのもよかったです。
上野:プロダクトだけでなく、カスタマーサクセスのサポート体制も魅力だと感じています。導入直後のオンボーディングで活用の相談をしていく際も、エンジニアでないとキャッチアップが難しいように思えるテーマも含めて対等に議論できたのは、思わずすごいなと感心してしまいました。
全社で体感できるインパクトに繋げるべく開発生産性を次のレベルへ
ー今後チームとしてどんなことにトライしていきたいでしょうか?
上野:エンジニア以外のメンバーも開発生産性向上のインパクトを体感できるぐらいに、改善効果をビジネスにも反映していきたいです。そのためには開発生産性を開発組織だけでなく全社の生産性に紐づく状態まで引き上げていく、成長感の伝わる計測指標を設定する必要があると感じます。
古家:直近では開発組織の生産性向上を実現するべく動き始めています。Team+で計測できる指標に加えてテストカバレッジや品質向上なども数値で可視化しようとしています。開発チームの生産性が一定向上した段階であれば、ベロシティを計測しても良いかなと考えていたりします。
ーチームのアピールポイントについてお伺いしてもよろしいでしょうか?
上野:エンジニアとユーザーとの距離が近い環境です。エンジニアリングだけに閉じずユーザーへの価値提供やPS(薬剤師)チームと連携しながら仕事を進めています。また、技術的なチャレンジに積極的な土壌もあり、生成AIという最先端の技術に積極的に取り組んでいることも強みだと考えています。
古家:行動指針の「患者起点」を徹底しつつ、ビジネスのスケールと両立させることを追求している点でしょうか。医療や健康の領域で社会的意義があることを成し遂げたい、インパクトのあることをしたい人に向いていると感じます。
ー今後一緒に働きたいエンジニア像についても教えてください。
上野:エンジニアリングに閉じず、プロダクトやユーザー価値に意識を向けられる方とご一緒できると嬉しいな、と思っています。
ー上野さん、古家さん、江田さん、ありがとうございました!
※PharmaXでは、『患者満足度世界一』をミッションとして、価値観に共感するエンジニアを募集しています。 https://herp.careers/v1/yojo
※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/service_introduction