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4ヶ月でリードタイムを50時間から5時間に改善。自発的にレビューする文化体制を構築したREALITYの開発生産性向上の取り組みとは?
スマートフォン向けメタバース「REALITY」の開発・運営を行うREALITY株式会社では、個人の振り返りやエンジニア組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」をご活用頂いています。
今回はREALITYにてシニアテックリードを務める増住啓吾さん、シニアマネージャーを務める清貴幸さんにインタビュー。「Findy Team+」を導入した背景や、開発生産性の計測に取り組んだことで生まれた組織の変化について伺いました。
目次
全世界で1,500万DL突破!スマホ向けメタバース「REALITY」の開発組織とは
──最初に、お二方のこれまでの主な経歴や現在の業務について教えてください。
清:2018年にグリーに入社し、iOS / Android 領域のマネージャーを経て、現在は、プラットフォーム事業本部のシニアエンジニアリングマネージャーを勤めています。直近では、 DevOps や Data Engineering 領域の組織を立ち上げにも携わっています。
増住:2017年にGlossom株式会社に入社し、グリーグループ内公募制度により2019年にREALITY株式会社へ入社しました。iOSアプリの開発やライブ配信・ビデオ通話のリアルタイム通信基盤の構築、クラウドインフラ整備に携わり、現在はREALITYにおける開発全体のテクノロジーマネジメントを担当しています。
──開発組織の体制や人数についても教えていただけますか。
清:40名前後のエンジニアが在籍しています。サーバーサイド、iOS、Androidなど機能・職能をベースとしたチームに分かれているのですが、実務としてはプロジェクト単位でチームを組むマトリクス型の組織となっています。
「本質的ではない」議論を重ねた末、取り組みがスタート
──開発生産性の計測に取り組み始めたきっかけを教えてください。
清:取り組みを始めた時点のシニアマネージャーは前任の渡邉でした。マネージャー陣のなかで「人数増加に伴うパフォーマンスの状態を確認したい」といった話がでたことをきっかけに開発生産性の計測がスタートしたと聞いています。
──開発生産性の計測ツールとして「Findy Team+」に興味を持っていただいた理由はなんだったのでしょう。
増住:もともと、アウトプットの計測をしようと社内で挑戦していたものの「何を見ればいいのかわからない」「データを可視化をするのが大変」という問題があり、効率の良い方法を探していたんですよね。
清:はい。「Findy Team+」を導入する前はGASでGitHubのデータを引っ張って可視化していたのですが、とても手間がかかってしまっていました。そこで、手動でするよりも効率のいい方法がないかと探していたときに「Findy Team+」の事例記事を見つけたのです。
それを見て「自分たちでGASを書くよりも外部ツールを導入したほうが良いだろう」と判断し、佐藤さん(ファインディ CTO)と渡邉が同期だった縁もあって、2022年10月より「Findy Team+」を活用しています。
──「Findy Team+」を導入した当初はどのようなゴールを設定されていたのですか。
増住:導入した当初、エンジニア向けの資料でゴールとして掲げていたのは下記3つの目標です。
・個人、チームのパフォーマンスを可視化し、成長できているかどうかを認知できる仕組みをつくる ・開発生産性が高い個人・チームのデータをもとにパフォーマンスを上げる ・オンボーディングのボトルネックを特定する
エンジニアの人数が増えているタイミングだったため、定量数値を設定して開発生産性の向上を目指すというよりも、体制を整えることに重きを置いていました。
──導入当初と契約更新時で、設定するゴールに変化はありましたか。
清:ありました。というのも、初期〜中期のプロセスを経て、モチベーションを持って取り組んでくれるメンバーはいたものの、全体の熱量にばらつきが生まれてしまっていて。明確なゴールを設定していなかったため「Findy Team+」を有効活用できていなかったんですね。
そこで、契約更新したあとは全チーム共通で「オープン〜レビューまでを24時間以内にする」というゴールを設定しました。
──定量数値をゴールに設定された理由は何だったのでしょうか。
清:ゴールはわかりやすいものが良いだろうと思ったからです。また「レビューするまでの時間を短縮する」というのは、開発の内容や規模に関係なく自助努力で達成できる目標でもあります。そのようなゴールを設定することで、まずは成功体験を積んだ方が良いだろうと考えました。
──取り組みをスタートさせるにあたって、どのように周囲を説得したのですか。
清:まずはエンジニアマネージャーに「このゴールをもとに取り組みを進めたい」と強く訴えました。
増住:清さんからその提案があったとき、マネージャーとして「それは本質的ではないのではないか」という考えもあり、議論をした覚えがあります。
清:そんなこともありましたね。ただ、私からするとレビュー時間が短くなるほど開発者体験が良くなるのは自明だったんですよ。というのも、私たちの組織ではレビュワーをランダムに振り分けていて、すぐにレビューをしてくれる人に当たったときに、メンバーが「良いな」と言っている場面をよく見ていたんです。それを踏まえて、「とにかくやりたい!」とマネージャー陣に伝えて、なんとか取り組みをスタートさせました。
自発的にレビューする文化形成へ
──取り組みを進めるなかで、難しいと感じることはありましたか。
清:取り組みを浸透させるのには少し苦戦しました。最初にマネージャー陣に指摘されたのと同じように、一部のメンバーからは「プロセス改善に取り組むよりもプロダクト改善に注力すべきなのでは」といった意見もあがっていて、社内の雰囲気を変えるのは大変だったなと。
増住:ルールづくりも大変でしたね。メンバーへの伝え方も含めて、定量指標の設定や集計対象のルールを考える際も非常に気を使いましたし、「チキチキ PRのレビューを素早くやろう選手権」のルールを決める時もマネージャー陣で話し合いました。
──「チキチキ PRのレビューを素早くやろう選手権」とはどのようなものだったのでしょうか。
増住:名前の通り、レビューを素早く実施してデプロイまでのリードタイムを速くすることを目指す取り組みの一つです。通知の方法やプルリクの粒度などを変えることで、結果的にオープンからレビューまでの時間を大きく改善することができました。
取り組みの最終月である2023/12の数値としては、「オープンからレビューまでのリードタイム」 は5時間になり、チームメンバーの取り組み意識も変わったと考えています。
──独自の施策も行われていたのですね。開発生産性を向上する取り組みを実施して良かったポイントについてもお話いただきたいです。
清:良かったことはたくさんあります。一つ目は定量的な数値を改善できたこと。
(引用:Now in REALITY Tech #101 チキチキ PRのレビューを素早くやろう選手権でレビュー速度を改善!)
成功体験を通して「頑張れば開発生産性は向上できるんだ」という雰囲気が醸成されました。月1回のペースで行っているWin sessionでも改善された点が報告されていて、みんなのモチベーション向上にもつながったように思います。
また以前は一部の人だけが持っていた「レビューを素早くされると嬉しい」という感覚を、みんなが持てるようになりました。なかには「1時間以内でレビューをしてもらえると『これは福利厚生だ!』と思うほど嬉しい」と言っているメンバーもいましたね(笑)。
増住:私はエンジニアチーム以外のメンバーと、コミュニケーションが取りやすくなったのもメリットだと感じています。
もともとエンジニアリングの重要性を理解してくれているメンバーが多かったため、コミュニケーションの齟齬は少なかったのですが、ビジネスサイド (企画職側)からすると開発組織の状態を正しく理解するのは難しいでしょう。しかし「Findy Team+」で開発組織の状態が可視化されたことで、エンジニアに対する企画職側の理解がより深まったように感じています。
清:企画職側とのコミュニケーションが以前よりスムーズになったことで「小さくつくることで効果検証を素早く行える」と周知され、開発側と企画職側のものづくりにおける目線を揃えることができましたね。
サイクルタイム全体の改善を目指し、泥臭く取り組みを続けていく
──ここまでの取り組みを経て、次のトライとして考えていることがあれば教えてください。
清:小さい範囲での成功体験を積むことができたので、次はもう少し大きい範囲で「サイクルタイム全体の改善」に取り組みたいと考えています。また自動化の推進やデータ分析の効率化も進めていきたいですね。
増住:開発生産性が向上した結果、デザイナーの手が足りなくなってきていると感じる面もあるので、企画職側やデザイナーを巻き込んでの施策も進めていきたいです。
──開発生産性の向上に取り組もうとしている方に向けて、何かメッセージをいただけますか。
清:先ほど「取り組みを浸透させるのが大変だった」とお話ししたのですが、実は一番キツイのは"無反応・無関心"です(苦笑)。
ただ反応がないからと言っても全員が関心を持っていないわけではなく、言葉にしなくてもこちらの提案をしっかりと受け止めてくれるメンバーもいます。「反応がないならやめた方がいいのだろうか」と迷うこともあるかもしれませんが、きっと効果はあるはずなので頑張って欲しいです。 メンバー側も「いいな」と思ったときは、取り組みを進めている人にその気持ちをぜひ伝えてあげてください。
増住:シンプルなようですが、とても重要な観点だと思います。取り組みを進めるのは想像以上に大変ですし、モチベーションを維持できなけば効果も出ませんからね。
──取り組みを進める立場の方にとって、心強いメッセージなのではないかと思います。最後に組織のアピールポイントや一緒に働きたいエンジニア像を教えてください。
清:REALITYでは開発生産性を向上する取り組みを泥臭く進めてきていて、それによって今までは見えていなかった課題を発見できるようになりました。まだまだやれていないことがあり、言い方を変えると、解決しがいのある課題がたくさんある状態です。
チャレンジしたい方をバックアップする体制が整いつつあり、大きな裁量を持って挑戦できるようになってきているので、さまざまなことにトライしたいと考えている方にはとても面白い環境だと思います。
増住:安全地帯を出てチャレンジすることを大切にする文化です。努力が報われるようにしっかりと仕組みを整えている段階ですし、チャレンジ精神が旺盛な方を心よりお待ちしています。
もし興味を持っていただけたなら、ぜひ一度お話できると嬉しいです!
──清さん、増住さん、ありがとうございました!
※現在REALITYでは、エンジニアを募集しています。__
※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/