Findy Team+ Lab

インタビュー

チーム裁量権を保ちながらリードタイムを約1/3に短縮。Sansan株式会社が実践した開発生産性の可視化とは?

チーム裁量権を保ちながらリードタイムを約1/3に短縮。Sansan株式会社が実践した開発生産性の可視化とは?

本記事のサマリ

◆導入前:解決したかった課題

プロダクトの成長とエンジニア組織の成長は右肩上がりで進んでいたものの、開発生産性については定量的に把握できていなかった。「Bill One Engineering Unit(BOEU)」を起点とし、他のユニットも同じ課題を持っていた。

◆Findy Team+を導入した理由

有志で開発生産性を可視化する内製ツールをリリースしたが、機能アップデートにリソースを投下している部署がなく、利用者のFBがなかなか反映されないため、利用浸透が難しかった。GoogleやDORAのライブラリも検討してみたがコスパが見合わず断念し、Findy Team+を導入。

◆導入の決め手

UI/UXデザインの高さだけでは推せないので、内製化ツールとの差分をROIで示したほか、現場アンケートを行った。トライアル期間を経て短期でも成果が出せたことが決め手。

◆導入後:成果

Findy Team+導入後、チームのパフォーマンスを言語化できるように。ボトルネックが可視化され、マネージャーとしてフォーカスすべき箇所がわかったことにより、インサイトが得られてネクストアクションにつなげやすくなった。導入前後で比較するとマージ済みPR数は約1.3倍増加し、リードタイムを約1/3短縮できた。

◆プロジェクト

「Bill One Engineering Unit(BOEU)」が担当するのはあらゆる請求書をオンラインで受領・データ化するインボイス管理サービス「Bill One」。企業の請求書受領から月次決算を加速するため、組織力の強化にとどまらず機能開発や他社サービスとの機能連携に注力している。顧客の経営課題の一つである「デジタル技術による効率化」を実現し、付加価値の高いサービスの展開・拡大を行っている。

目次

■プロフィール

川元 謙治氏 Sansan株式会社 技術本部 Bill One Engineering Unit (BOEU)Core Business APグループ エンジニアリングマネージャー。SIerやパッケージ開発会社での経験を経て、2022年にSansan株式会社へ中途入社。Sansanでは Web アプリケーション開発エンジニアとしてキャリアをスタートし、現在「 Bill One」の主に請求書受領の開発を担うグループのエンジニアリングマネージャーとして、 Bill One 全体の開発生産性向上に向き合っている。

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チーム裁量権を保ちながらリードタイムを約1/3に短縮。Sansan株式会社が実践した開発生産性の可視化とは?

「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションとして掲げ、働き方を変えるDXサービスを提供するSansan株式会社。同社では、エンジニア組織における個人のパフォーマンスの振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用いただいています。

今回は、Sansan株式会社 技術本部 Bill One Engineering Unit (以下BOEU)Core Business APグループ でエンジニリングマネージャーを務める川元 謙治さんにインタビュー。開発生産性の計測にあたって「Findy Team+」を導入した理由や運用方法、取り組み後にどのような変化があったかなどについてうかがいました。

グローバルテックカンパニーを目指すSansan

――御社の組織規模や、技術本部の体制について教えてください。

川元 謙治氏(以下、川元):技術本部は、500名ほどの規模です。「Sansan Engineering Unit」や「Bill One Engineering Unit(以下、BOEU)」を含み、プロダクトベースで複数のユニットに分かれています。

――川元さんが所属されているユニットについて、教えていただけますか?

川元:私はインボイス管理サービス「Bill One」の開発を担当する「BOEU」に所属し、エンジニアリングマネージャーを務めています。「Bill One」は郵送やメールなどで届く請求書をデジタル化し、クラウド上で一元管理できるサービスです。インボイス制度や電子帳簿保存法にも対応し、月次決算業務を効率化することで、企業経営における意思決定のスピードを加速します。

――どのようなミッションを掲げていますか?

川元:当社はグローバルテックカンパニーを目指しております。「Bill One」ではシンガポールやタイでの展開がはじまっています。昨年度(17期)のOKRの一つでは、生産量を2倍にすることが挙げられており、それが今の技術本部の大きなミッションです。

開発生産性の可視化への取り組み

――会社として開発生産性の計測に取り組み始めた背景は何でしょうか?

川元:プロダクトの成長とエンジニア組織の成長は右肩上がりで進んでいましたが、開発生産性については定量的に把握できていなかったため、成長に再現性があるかどうか分かりませんでした。パフォーマンスを可視化したいと考え、有志で内製化を進めていました。

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――計測を行っていたなか、どのようなきっかけから「Findy Team+」に興味を持ったのでしょうか?

川元:内製ツールの機能アップデートに本腰を入れて取り組んでいる部署がなく、片手間での開発には限界がありました。利用者のFBがなかなか反映されないため、利用浸透が難しかったのです。また、GoogleやDORAのライブラリも検討しましたが、コスパが見合わず早々に断念しました。

代替できるツールを探し、開発生産性を定量的に把握できるFindy Team+に決めました。Findy Team+のUI/UXデザインの高さ、チーム・メンバーの比較機能などが魅力でした。

――「Findy Team+」の活用について、社内で理解を得ていくにあたって難しかったことはありましたか?

川元:Findy Team+を使う理由としてUI/UXが良く非常に使いやすいということが決め手でした。ただ、定性的な理由だけでは説得力に欠けます。社内で理解を得ていくため、「どれだけ開発生産性を追求するとROIが見合うのか」を提示する必要がありました。

差別化のメリットをしっかりと言語化して、ROIを伝えることが必要だったので、時間がかかりました。そこで、内製ツールとFindy team+の機能比較として、星取表を作成したり、アンケート結果を現場からの声として提示したりしていました。トライアル期間を経て浸透度合いを訴求できただけではなく、リードタイムを約1/3に短縮できた成果を定量的に示せたことも大きかったと思います。

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品質と生産性をトレードオフにしない

ー「Findy Team+」導入後、計測を通じたゴールはどこに設定していたのでしょうか?

川元:むやみに目標値を設定して、達成したかどうかを気にすることはしていませんでした。目標達成ハックの防止を意図していたからです。「レビュータイムが長くなっていないか?」「レビュー負荷の偏りがチーム内で出ていないか?」など、自分たちのパフォーマンスを可視化し、健全性チェックに使うところから始めました。

ーBOEUはボトムアップに強みがある組織と伺っています。

川元:トップダウンで目標値設定すると「なぜその目標なのか」という疑問が出やすくなり、本質ではない議論になってしまいがちです。そもそもBOEUはボトムアップに強みがある組織なので、チームの裁量を奪いたくなかったというのもあります。開発領域において背景もそれぞれ違うので、チームごとで目指す先も異なります。プロダクト開発やユーザーへの価値提供につながっている部分を大切にしているので、チーム比較も可能な限りしないように気をつけていました。

ー取り組みにおいて、難しかったポイントはどのようなことでしょうか?また、どのように解決されたのでしょうか?

川元:OKRとの相関を見るのは難しいと感じました。「レベル1:仕事量の生産性」向上と「レベル2:期待付加価値生産性」の相関を見るのは大変でしたし、今でも気にしています。

そこで、一定期間内にリードタイムを短くして、次々とリリースしていけばアウトプットは増えると仮定しました。最小単位であるプルリク、次に大きい単位であるプロダクトバックログアイテム(PBI)に焦点を当てました。

まず取り組んできたのがレベル1とレベル2で見たときのリードタイムです。最初はリードタイムを短くしていました。改めて自分たちが何をやりたいかを話した結果、重要なのは「顧客への価値提供量の増加」であることに気づきました。そこでアウトプット量の増加に着目したわけです。

ーアウトプット量を増加させるのが難しい開発領域や施策においては、どのように合意形成をされたのでしょうか?

川元:トレードオフにしないことが大切だと思います。例えば品質や開発生産性はトレードオフに見られがちです。例えば開発生産性向上に取り組みが偏重していると、バグやインシデントが増加し、結果的にユーザー価値提供速度やプロダクト満足度を低下させてしまいます。

さらに、ミーティングが多いからといって削り過ぎるのも問題です。学びの共有は文化として大切にしているので、動機的な文化に関わる部分は削りすぎないようにしました。定量には表れないウェルビーイングに関わる部分にも注意して、いい塩梅での最適化を目指しました。

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マージ済みプルリク数は約1.3倍増加、リードタイムは約1/3短縮へ

――「Findy Team+」を導入してから改善された部分について教えてください。

川元:スプリントのレトロで、チームのパフォーマンスを確認できる透明性のある検査・フィードバックのサイクルが生まれました。「なぜうまくいったのか」「なぜ今ベロシティが落ちているのか」など、チームのパフォーマンスを言語化できるようになりました。

ボトルネックが可視化され、自身がフォーカスすべき箇所がわかったことも大きな変化です。これまではネクストアクションがはっきりせずモヤモヤしていましたが、インサイトが得られてネクストアクションにつなげやすくなりました。

――今後トライしていきたい点はどのようなことでしょうか?

川元:プルリク作成の方針を立てましたが、それを守らないと結局形骸化していくので、引き続きウォッチが必要だと思っています。

――開発生産性の可視化を通じて、組織・メンバーの意識・行動にはどのような変化があったのでしょうか?

川元:これまでもビフォーアフターを文章で定性的に言語化することはできていました。しかし、Findy Team+を活用することによって、成果についても自然と定量情報をもとに会話ができるようになったのです。

例えば、メンバーは「ボトム+トップ」で成果の言語化や目標設定の壁打ちとしてFindy Team+を利用し、「ビフォーアフターを定量的にとれる」といった会話も行われています。個人の成果がチームにも貢献できていることが視覚化されたので、BOEU内でも浸透しているのだと思います。

――取り組みを進めるなかで、「Findy Team+」における数値の変化はいかがでしたか?

川元:取り組みを実施した結果、開発生産性レベル2と表しているPBIの評価量でいうと1年で2倍に増加しました。Findy Team+でもPBIの増加に伴い、マージ済みPR数は約1.3倍増加、リードタイムは約1/3短縮しています。

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自走力が高いチームで強い組織へ

――今後の開発生産性計測・可視化のトライや「Findy Team+」活用の展望などについて教えてください。

川元:チーム編成が柔軟に行われるので、チームビルディングのイニシャルコストや、これまでパフォーマンス分析ができていなかった海外開発チームの可視化をやっていきたいですね。また、パフォーマンス分析と連動し、「開発時間を確保できているのか」について定量的な裏付け根拠が取れるミーティング分析も有効活用したいと思っています。ただし、開発メインの海外開発チームはミーティングがボトルネックになることはほぼないと感じています。

――それでは最後に、御社の開発組織についてのアピールをお願いいたします。

川元:当社は、Findy Team+に限らず、ROIを説明できたり、開発者体験を高められたりするツールを採用できる環境にあります。Copilot、ChatGPTなども希望があればアカウント配布が可能です。トップダウンで大枠の方針を決めるところはありますが、ボトムアップでチームの裁量を非常に大切にしています。そういったところがFindy Team+の活用による改善にもつながっているのだと思います。

「自走力が高いチームはパフォーマンスも高い、その総和で組織が強い」という点については今後もこだわっていきたいですね。そのためにも当社は採用と育成を重視しています。 ボトムアップでチームの裁量を高く持って進める文化に共感できる方には魅力的な職場だと思います。興味を持たれた方はぜひご連絡ください。

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※現在Sansanでは、エンジニアを募集しています。 Sansan株式会社のエンジニア求人一覧 ※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/

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