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「見える化」により自発的に改善できる組織へ。「思いやりPR」文化を育んだCATS株式会社の組織改革とは?

本記事のサマリ
導入前:解決したかった課題
PR(プルリクエスト)サイズの肥大化やレビューの滞りにより、デプロイ頻度が低下していた。また、開発活動の可視化が不十分で、課題の特定や改善が進めにくかった。
Findy Team+を導入した理由
Four Keys指標を基にした客観的な生産性可視化が可能であり、セキュリティ面でも信頼できることから導入を検討。
導入の決め手
大手企業での導入実績と、コンプライアンス要件を満たすセキュリティレベルの高さが決め手となった。
導入後:成果
PR粒度の適正化やレビュー負荷の分散により、デプロイ頻度が向上。チーム内のコミュニケーションも活発になり、改善文化が定着した。
Findy Team+の紹介資料は以下からもダウンロードいただけます。
目次
見える化により自発的に改善できる組織へ。「思いやりPR」文化を育んだCATS株式会社の組織改革とは?
アドテクノロジー分野で最先端の技術開発に取り組むCATS株式会社では、開発組織の生産性向上とチーム文化の改善に向けて、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用しています。 今回は、開発部長の前田政春さん、広告計測ツール「CATS」のテックリードの安藤直樹さん、アフィリエイトシステム「AFAD」のチームリーダーの池上聡志さんにインタビュー。「Findy Team+」導入の背景や開発生産性向上に向けた具体的な取り組み、導入後の変化や今後の展望についてお話をうかがいました。
──御社について教えてください。 前田:CATS株式会社は、2022年に設立され、アドテクノロジー分野を中心に最先端の技術を活用したプロダクト開発を行っています。現在、エンジニアは約20名で、20〜30代が中心。新卒と中途の割合は半々で、異なるバックグラウンドを持つメンバーが協力しながら開発を進めています。 開発はプロダクトごとにチームを編成しており、オフィスでは日々机を囲んで議論しながら開発に取り組んでいます。特に、若手でも意見を言いやすい文化が特徴で、技術志向の高いメンバーが挑戦できる環境を整えています。また、グループ会社のAIプロダクト「JAPAN AI」の技術も活用し、最新のAI技術開発にも携わっています。
開発生産性向上の鍵は「次世代の成長基盤」
──開発組織では、どのようなミッションを掲げていますか? 前田:私たちの開発組織は、「次世代の成長基盤を構築すること」をミッションに掲げています。その中で、特に以下の3つを重視しています。
- インフラの強化:当社のサービスは365日稼働しているため、ダウンは許されません。高い可用性を確保しつつ、安定したインフラの整備に力を入れています。
- 技術負債への対応:長期的な成長を見据え、技術負債の解消にも取り組んでいます。短期的な機能追加だけでなく、未来の開発効率を考えた改善が欠かせません。
- スピーディーな機能提供:マーケティング施策の意思決定スピードを上げるためにも、迅速な機能開発が求められます。ビジネスサイドと密に連携し、リアルタイムで価値提供できる体制づくりを目指しています。
このミッションを達成するためには、開発生産性の向上が不可欠でした。その方法を模索していた中で、Findy Team+の存在を知り、導入を検討することになりました。
──Findy Team+に興味を持った理由と導入の決め手は? 前田:最初は、GitHubのアクティビティを手作業で集計したり、スプレッドシートでタスク管理を試みたりしましたが、運用の負荷が大きく、データの精度も不十分でした。そんな中でFindy Team+を検討した理由は、次の3点です。
- セキュリティ面での信頼感:私たちは上場企業グループの一員であるため、ソースコードの取り扱いやデータ流出リスクには特に慎重です。Findy Team+はコンプライアンス要件を満たしつつ、安心して利用できるセキュリティレベルを備えていました。
- 大手企業での導入実績:他社ツールより価格面で優位なものもありましたが、Findy Team+は既に大手企業での導入実績が豊富でした。その実績が、私たちにとって大きな安心材料になりました。
- Four Keysを基にした客観的な指標提供:開発生産性を科学的な根拠に基づいて測定できる点が魅力的でした。特に、数値変化がメンバーやビジネス側にも伝わりやすく、改善活動を推進する上で有効だと感じました。 結果的に、価格以上の価値があると判断し、導入を決めました。
PRレビューの負荷軽減とデプロイ頻度向上へ
──導入前の課題と導入後の変化について教えてください。
池上:導入前は、リリース数やタスク数をJIRAで管理し、マネージャーが手作業で集計していました。しかし、定性的な評価に偏りがちで、本当に改善すべきポイントがどこにあるのかが明確ではありませんでした。
特に、PRの巨大化による以下のような問題が顕著でした。
- レビューの滞り → デプロイ頻度の低下
- 特定メンバーへのレビュー負担集中
安藤:実際に、PRが大きすぎるとレビュワーがバグチェックだけで手一杯になり、コード品質の確認まで手が回らなくなっていました。メンバーからも「レビューがしんどい」という声が多く、改善の必要性を強く感じていました。
池上: Findy Team+を導入したことで、Four Keys指標(リードタイムやデプロイ頻度など)を用いた可視化 により、問題が明確になりました。
- PRサイズの適正化 → レビュー負荷の分散
- レビューの均等化 → 特定メンバーの負担軽減
- デプロイ頻度の向上 → 継続的なデリバリーの実現
以前は「何となく課題がある」と感じていた部分が、データとして明示されるようになり、具体的な改善策を議論できる環境 が整いました。
PR分割の文化醸成とチームの成長
──実際に取り組んだ課題は何ですか?
池上:PRの巨大化によるレビュー滞りを解消するため、PR分割の文化を定着させる施策を実施しました。まず、適切なPR粒度を学ぶ勉強会を開き、従来の「ファイル単位でまとめるPR」から、「機能単位・論理単位での分割」 へと移行しました。特に若手メンバーが多かったため、新しい方法を柔軟に取り入れやすく、比較的早くチーム全体に浸透しました。
次に、OKR(Objectives and Key Results)にPR数を指標として設定し、定期的な振り返り(レトロスペクティブ)を実施。Four Keysのデータを活用しながら、改善を続ける文化を醸成しました。
──課題に対してどのような取り組みをされたのですか? 池上:まずは勉強会を実施しました。テーマは「適切なPRの粒度と分割方法」です。以前はファイル単位でPRを作成していたメンバーが多かったのですが、実際の機能や課題に即した「意味のある単位」でPRを出すよう指導しました。若手メンバーが多く、柔軟性が高かったこともあり、比較的早く習得してもらえたと思います。 さらに、全社の評価制度であるOKRにPR数を指標として設定し、チーム全体で改善意識を高めました。定期的な振り返りの場でFour Keysの数値を確認しながら、改善サイクルを回すようにしています。
安藤:勉強会では、一方的に説明するのではなく、メンバーの意見を拾いながら進めました。
例えば、「そこまでPRを分けなくてもいいのでは?」という声があった際は、なぜ分割が重要かを一緒に考えながら認識をすり合わせました。結果として、メンバーからも「この粒度ならレビューが楽だ」「変更箇所が明確で分かりやすい」といった声が増えました。また、KPT(Keep, Problem, Try)を活用した振り返りでは、会議前にメンバーから意見を集め、会議中は議論に集中できるように工夫しています。「Problem(問題)」や「Try(挑戦)」に具体性を持たせ、実際のアクションにつなげることを重視しました。
週次で振り返りを実施し、具体的なアクションを出し続ける仕組みを構築
安藤:その結果、
- PRサイズの適正化 → レビュー負担の軽減
- 「レビュワーに優しいPR」文化の定着
- デプロイ頻度の向上 → 迅速な機能提供が可能に
これにより、チーム内で「どうすればレビューしやすいか」を自然と考えるようになり、開発のリズムが改善されました。
「思いやりPR」が生んだ開発とビジネスの好循環
──開発生産性の可視化によって、チームやメンバーにどのような変化がありましたか?
池上:Findy Team+を導入したことで、PR作成に対する意識が大きく変わりました。以前は自分本位でPRをまとめることが多かったのですが、今では「レビュワーに優しいPR」を意識するようになり、適切なPR粒度で提出する習慣がチームに根付きました。
また、PR提出のタイミングやレビュワーへの配慮も改善されました。以前は終業間際にPRを出すことが多く、レビュー負担が偏る問題がありましたが、「この時間までに出す」ルールが自然に浸透し、スムーズな開発フローが実現しています。
安藤:最初は「なぜここまでPRを分ける必要があるのか?」という声もありましたが、実際に分割してみると「レビューが楽になった」「変更箇所が明確で安心感がある」といったポジティブな意見が増え、メンバーが主体的にPR粒度の適正化に取り組むようになりました。さらに、コミュニケーション面でも変化があり、「いつまでにレビューしてほしい」「この部分を特に確認してほしい」といったやり取りが活発 になりました。以前はレビューについてあまり言葉を交わさなかったメンバー同士が、自然とフィードバックし合う文化が醸成され、「思いやりPR」が当たり前の習慣になっています。
前田:Findy Team+導入の効果は、単なる数値改善にとどまらず、チーム文化の変化 に表れています。可視化によって問題を「個人の問題ではなく、チーム全体で解決すべきもの」と捉える意識が強まりました。その結果、振り返りの議論が活発になり、改善サイクルがよりスピーディーに回るようになったことも大きな成果です。
──生産性の可視化は、ビジネス側にも影響を与えましたか? 前田:はい、ビジネス側との連携にも良い影響が出ています。 導入前は「エンジニアが何をしているのか分かりづらい」と言われることもありましたが、今ではFour Keysの指標をもとに「PR数が10倍に増えた」「リードタイムがこれだけ短縮された」といった具体的なデータを提示できるようになりました。 この可視化によって、開発進捗の報告や意思決定のスピードが向上し、ビジネス側からも「データで説明されると納得感が違う」という声が上がっています。
──チーム文化や雰囲気の面で、特に印象に残っている変化はありますか? 池上:最も印象的だったのは、「思いやりPR」文化がチームに根付いたこと です。以前は「レビューが負担になっている」といった声が多かったのですが、今では「相手がレビューしやすいようにPRを作る」という意識が当たり前になり、チーム全体が協力しながら開発を進める雰囲気が生まれました。
安藤:コミュニケーションのオープンさも大きく向上しました。PRの提出タイミングやレビュー方針についても積極的に話し合えるようになり、「タスクを押し付け合う」のではなく「お互いに助け合う」チームへと進化しました。 また、Four Keysの指標を日常的に意識するようになったことで、「この数値をもっと改善できないか?」と自発的に考える文化が育っています。これは、Findy Team+を導入していなければ実現できなかった大きな変化だと感じています。
継続的な改善とモダナイゼーションへ──Findy Team+を活用した開発組織の未来
──チームの今後の課題や目指す姿について教えてください。 池上:現状に満足せず、これからも継続的に改善を進めていきたいと思っています。 改善に慣れてくると、つい「これくらいでいいか」となりがちですが、常に新しい課題を見つけ、気を抜かずにアップデートを重ねていくことが大事だと考えています。
安藤:取り組みの結果、チームに余裕が生まれてきたので、今後はその余裕を活かしてプロダクトのクオリティアップにさらに力を入れていきたいです。これまで後回しにしていた改善事項を深掘りし、「より良いものを作ろう」というムーブメントを広げていきたいですね。
──開発生産性向上の取り組みを通じて、学びや気づきはありましたか? 前田:当初の目的は開発生産性の改善と指標化でしたが、実際に取り組んでみるとチーム全体のモダナイゼーション(最新化)が進んだことに驚いています。 Findy Team+で指標を見るようになったことで、メンバー間での会話や意識が大きく変わり、「お互いがやりやすい環境を作ろう」という文化が自然と育ったのは想像以上の成果でした。 これからも、テックのキャッチアップに加えて、「関わり合いながら開発することの大切さ」をチーム全体で意識し続けてほしいと思っています。その結果、私たちのプロダクトが社内外に安心感を提供し、関わる全員がwin-winになることが理想です。
──今後の開発生産性計測・可視化のトライについて、Findy Team+の活用展望を教えてください。 池上:現状、PRサイズやレビュー負荷の改善には一定の効果が見られていますが、今後も継続的に改善を続けていきたいと考えています。特に、改善活動は「やり切った」と思った瞬間に停滞してしまうものです。私たちは、現状に甘んじず常に課題を見つけ、アップデートし続ける姿勢を大事にしたいと思っています。 Findy Team+の指標を活用し、リードタイムやデプロイ頻度だけでなく、レビューの質やコミュニケーションの活性化にも引き続き注目していく予定です。また、現在は主にエンジニアチーム内での活用が中心ですが、今後はビジネス側とのさらなる連携強化にも役立てていきたいです。
──改善活動で得られた余裕を、今後どのように活かしていきますか? 安藤:改善の結果、開発スピードが上がったことでメンバーに余裕が生まれました。 これまでリリースに追われ、見送っていた議題や改善事項に取り組めるようになったのは大きな変化です。今後は、その余裕を活かして、プロダクトの品質向上や、新しい技術のキャッチアップにも注力していきたいです。 特に、今まで「忙しくて後回しにしていた課題」に立ち返り、より良い開発フローやプロダクト価値の向上に取り組んでいきます。 また、Findy Team+の数値改善をチーム内だけでなく、組織全体で推進するムーブメントに広げていくことも目指しています。
──Findy Team+のおすすめポイントを教えてください。 前田:Findy Team+は、「難しく考えすぎないで使えるツール」だと感じています。 データを眺めながら「この数値はなぜこうなっているんだろう?」と考えること自体が、すでにチームの振り返りや改善につながります。メンバーが自分たちで考え、改善の糸口を見つけられるのは大きなメリットです。 また、導入初期からカスタマーサクセス(CS)の方がしっかり伴走してくれたことで、スムーズに活用を始められました。日本語での事例共有やイベント案内も積極的に提供してくれるため、他社事例を参考にしながら自社に取り入れることができるのは非常に心強いポイントです。
──最後に、今後一緒に働きたいエンジニア像を教えてください。 池上:私たちが求めるのは、「技術への探究心が高く、チームで成長できる方」です。 スキルや経験も大事ですが、それ以上に大切なのは「学び続ける姿勢」と「チームでの協調性」だと思っています。 CATSは若手メンバーが多く、柔軟で成長意欲の高い環境です。失敗を恐れずにチャレンジできる方には、たくさんの成長機会があります。
安藤:特に、新卒や経験が浅い方であっても、「難しい課題に立ち向かうチャレンジ精神」がある方は大歓迎です。 CATSでは、誰もが意見を言いやすく、技術的な挑戦がしやすい雰囲気があります。チームでのモダナイゼーションや新しい技術導入に積極的に関わりたい方には、とてもやりがいのある職場だと思います。
※CATS株式会社(株式会社ジーニー)ではエンジニアを募集しています。 CATS株式会社(株式会社ジーニー)のエンジニア求人一覧 ※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/