Findy Team+ Lab

インタビュー

定量化でメンバー自走のふりかえりを実現。開発生産性向上を目指すHacobuの組織づくり

定量化でメンバー自走のふりかえりを実現。開発生産性向上を目指すHacobuの組織づくり

「運ぶを最適化する」をミッションとして、クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」を展開する株式会社Hacobu。エンジニア組織における個人の振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用いただいています。

今回は、Hacobuでエンジニアマネージャーを務める、井田さんにインタビュー。「Findy Team+」を活用して開発生産性の計測に取り組んだ背景や、どのようにチームを巻き込んでいったかなどについてお話をうかがいました。

目次

PMFの達成をミッションとする「MOVO Vista」チーム

――まず最初に、井田さんの簡単なご経歴や現在の業務内容について教えてください。

井田:2022年11月にHacobuへ入社し、当初はバックエンドエンジニアとして、配送案件管理サービス「MOVO Vista」の開発チームに入りました。今年3月からはエンジニアマネージャー(EM)に就任して、組織づくりや開発生産性の可視化などに取り組んでいます。

――開発組織の規模や体制について教えていただけますか?

井田:開発組織全体は、40名くらいのエンジニアがいます。プロダクトごとにチームが分かれていて、それぞれのチームにフロントエンド、バックエンド、QAのエンジニアが配属されています。PdMは別組織にいますが、開発ではスクラムをまわしているので、スクラムのなかにPdMが一緒に参加する体制になっています。

――「MOVO Vista」チームの特徴やミッション、OKRについて教えてください。

井田:Vistaチームは現在13名が在籍していますが、異なる2つのプロダクトが統合され、1つのプロダクトになってできたという経緯があります。なので、もともと別チームで仕事をしていたメンバーが、1つのチームに集約されているのが特徴です。

「MOVO Vista」は、Hacobuのプロダクトのなかではまだ若く、これからPMFを取っていくフェーズのプロダクトです。まずはPMFを達成することがチームのミッションになります。OKRとして明文化されているものはありませんが、PMFのためにできることを考えていて、そのアプローチの1つとして、開発生産性を可視化して改善していこうとしています。

――そのほかにも、チームとして取り組まれているテーマはありますか?

井田:HacobuはFY8(2022年度)に100人の壁を越えたところで、それ以前の開発組織ではあまりチームビルディングを強く意識しなくても、人数の少なさから十分な情報共有ができていました。ただ、100名を超えたあたりから組織としてスケールするためには、意識的にチームビルディングを行い、より強固なチームにする必要性を認識し始めました。

とはいえ、開発組織はこれまで個の力を結集し、壁を乗り越えてきましたが、チームの力を最大化するためにはより強固なチームプレイが必要な状況です。なので、よりチームビルディングを活性化して、スケールできるような組織をつくっていくところも、1つの大きなテーマですね。

開発生産性を測り、客観性を持って話せる環境をつくる

――開発生産性の計測を始める前には、組織でどういった課題を感じられていましたか?

井田:エンジニアは、定量的に成果を測りづらい存在だと思います。そのせいもあってか、組織としてプロダクト開発があまり上手くいっていない雰囲気があるとき、エンジニア側に何か課題があるのではないかというような、主観的な意見を耳にすることがありました。

そういった印象を払拭するには、エンジニアが「ここはちゃんとできている」とか「ここは課題なので取り組んでいきたい」と、もっと定量的に客観性を持って話ができる環境が必要です。CTOがそうした課題を感じていたことから、開発生産性を測る必要があるのではないかという話が挙がりました。

また、開発生産性の向上アプローチはそのまま、お客さまへ提供できる価値の最大化にも繋がりますので、印象の払拭という当初の課題感にとどまらず、顧客満足度やROIに連動するという点でも、その意義は大きいと考えています。

――現場目線でも、同様の課題を感じられていたのでしょうか?

井田:僕が入社したころ、開発現場目線で生産性についてどう思っていたかを思い返してみると、正直あまり課題は感じていなかったですね。むしろ入社した当初は、前の職場と比べて、プルリクのアプルーブまでのスピード感がすごく速いことに驚いていました。なので、開発生産性を測って何か課題が見えてくるのだろうか、といった疑念が自分のなかにはありました。

――実際に計測を始めることになったとき、他の方を含めた社内での反応はいかがでしたか?

井田:やはり「本当に効果があるの?」といった声はありました。

――「Findy Team+」の導入は、どういったプロセスで決まっていきましたか?

井田:きっかけは、CTOからの「Findy Team+」を使ってみようという提案でした。僕自身はもともと「Findy Team+」というツールの存在や、他社さんで導入されている事例も知っていました。僕としては、導入する意味があるかどうかを気にするよりは、新しいツールを触ってみようという感覚でしたね。

自分のチームで試しに導入してみて、効果がありそうなら他チームにも展開すればいいし、もし効果が出なければ別のアプローチを取ればいい。そういった話をして、ひとまず導入してみようということになりました。

――試しに導入して、どういった部分が計測を通じて見えればいいかなど、計測のゴールをどのように置かれていましたか?

井田:まず絶対やめようと思っていたことが1つあって、それは「Findy Team+」の数値を見て、良い悪いを判断すること。そこは、もう少し導入に対する納得感が出た後に考えるべきだと思っていたので、あまりフォーカスしすぎないように意識していました。

「Findy Team+」というツールが有効かどうかはさておき、それよりも開発生産性を何らかの方法で可視化をした方が自分たちのメリットになる、という風潮を上手くつくっていくことを、自分のなかではゴールにしていました。

エンジニアは職業柄、新しいライブラリやツールが出たら興味を持って、みんなで使ってみようという空気がありますよね。まずはそういう雰囲気で、「Findy Team+」が見られたらいいなと思っていました。 井田様_1

他社事例を参考に、「Findy Team+」を振り返りで活用

――「Findy Team+」の導入後、どのような形でメンバーに展開していきましたか?

井田:最初は、スクラムマスターと自分の2人だけで「Findy Team+」を導入して、どうやって使っていくか理解を深めていきました。それから、「Findy Team+」のカスタマーサクセスの担当者の方とお話しして、進め方についてアドバイスをいただきながら、少しずつ巻き込む人を増やしていった形ですね。

会社としてのゴールは、開発生産性を「Findy Team+」で可視化することが正解かどうかを見極めることにありました。そのなかで、当初不安に感じていたのは、自分が「Findy Team+」を積極的に使っていこうと思えなければ、おそらくチーム全体としても導入は見送ることになるだろう、ということでした。

新しいものに取り組むとき、本当に効果があるのかなど、懸念が先行して出てくるものです。でも、よくわからないものにも向き合って、チャレンジするマインドをつくっていくべきだという課題が、自分のなかにあったんですね。不確実なものにもちゃんと向き合っていけるチームをつくるためには、自分が諦めてはいけないという思いがありました。

――どういったアプローチで、他のメンバーを巻き込んでいかれたのでしょうか?

井田:今年に入って入社したバックエンドのメンバーが、「Findy Team+」にすごく興味を持ってくれたことが、1つのきっかけになりました。そのメンバーが入社したばかりのとき、自分がちゃんとパフォーマンスを出せているか不安だと話していたので、「Findy Team+」のことを紹介したんです。

そうしたら、そのメンバーが毎日のように「Findy Team+」を見て、チームと比較して自分のパフォーマンスがどうかを判断するのに、自ら活用してくれるようになったんですね。それをきっかけに、これは人を巻き込んでいくと、いろいろできることがあるなと思うようになりました。

「Findy Team+」の導入と、その活用に前向きな新入社員が入ってきたことで、チーム全体でツールを使っていくきっかけが生まれたように思います。チームでは改めてパフォーマンスを可視化しなくても、上手くまわっているという感覚が知らず知らずのうちに浸透していて、もしかすると「何か改善しなければならない」という意識が生まれにくかったのかもしれない。そこに気付けたのは、大きな収穫でしたね。

――チーム全体としてはその後、どういった形で開発生産性の可視化に取り組まれてきましたか?

井田:カスタマーサクセスの方から、振り返りで「Findy Team+」を活用している他社事例を教えてもらい、それが私たちの振り返りの改善にも使えそうだったので、参考にさせてもらうことにしました。

Vistaチームは今13人くらいと人数が多いので、スプリントごとの振り返りで意見が出づらい傾向があったんです。なので、自分のなかでは開発生産性の可視化とは別に、振り返りも改善したいという課題感をずっと持っていました。

もともとスプリントでの振り返りだけでなく、テーマごとに人数を絞って振り返りをしたら意見が出やすそうだと考えていたこともあり、開発者だけが集まって「Findy Team+」を使って話し合える時間をつくってもらいました。

――「Findy Team+」を使って振り返りを始めた当初、皆さんからはどういった意見が出ていましたか?

井田:実は、僕が振り返りに参加したのは最初の1~2回で、それ以降は参加していないんですよ。なぜかというと、自分はチームで比較的ベテランにあたるので、自分が参加していることも、意見が出にくい一因になっているのではないかと思ったからです。

ベテランの発言ばかりが目立つとか、話を振られる頻度が高くなってしまうのは、よくあることだと思うので、自分が一度抜けてみようと。そして、振り返りに参加せず、参加したメンバーにどうだったか聞いてみたら、盛り上がりましたよと言われたので(笑)。それ以降は、メンバーだけで振り返りをやってもらっています。

――メンバーだけに任せても、数値を見ながら振り返りができる状況がつくれたということですね。

井田:その後新しく入社したメンバーも、まずはやってみようというマインドがすごくある人だったので、ファシリテーションを任せてみたんです。振り返りを盛り上げてほしいとお願いして、それを粘り強くやってくれたことが良かったと思います。

振り返りの進め方としてよくあるのが、ファシリテーションを持ち回りにするパターン。でも、僕はメンバーの個性を全面に出したいと考えていて、「ファシリテーションといえばこの人」とラベリングしていきたいので、その人らしさを全面に出してやってもらっていました。

――井田さんは普段から、メンバーの個性を意識してコミュニケーションするようにされているのでしょうか?

井田:そうですね。僕は苦手なものとの向き合い方を、特に大事にしています。EMが部下にフィードバックするとき、「あなたはこういうところが苦手なので、改善しましょう」と言ってしまうことが多いように思います。でも、僕は苦手なことを改善をする必要はないと、はっきりメンバーに言っているんですよ。

自分が何かを苦手だと感じたときは、改善しようとするのではなく、それを得意とする人を巻き込みましょう、と繰り返し伝えています。苦手なことを自分で克服して1人でできるのであれば、そもそもチームビルディングをする必要がないと思っているからです。

自分は苦手なことも、それが得意な人にお願いしたら上手くまわる。そういう連携が取れるからこそチームビルディングの意義があるので、苦手なことがあっても個性として受け入れようと、1on1などでも伝えています。 井田様_2

数値化を意識し、課題について話し合う文化が生まれた

――「Findy Team+」を活用いただくなかで、特にどんな指標に注目されていますか?

井田:メインで見ているのは、サイクルタイムです。感覚としてスピードは速いと感じていたものの、プルリクは開発において割と課題になりやすい、ブロックになりがちな領域なので、まずはサイクルタイムを見るのが直感的でわかりやすいだろうと思いました。

――数値を見始めて、課題に感じられた指標はありましたか?

井田:アプルーブは速いのですが、なぜ速いのかを分析してみると、人によって見るところが違っていることがわかりました。例えば、プルリクを出すときには、もうだいたいどう実装するかが固まっているので、あっさり見ているという人もいれば、ちゃんと見なければならないと考えて、じっくり時間をかける人もいる。つまり、レビューするときに見るべき観点がまとまっていなかったんですね。

ここでバックエンドのメンバーが、単にアプルーブが速いから良いだろうと考えるのではなく、この速さは本当に何かを疎かにしていない、ヘルシーな速さなのかと、深掘りしたことが良かったと思います。それによって、しっかりとメンバー間でレビューの観点を共有することができました。

――開発生産性の可視化を通じて、メンバーの意識や行動が変化した部分はありましたか?

井田:個人的には、チームビルディングが活性化するきっかけになったことが、すごくありがたいと思っています。「Findy Team+」の導入がきっかけで、例えば「これを可視化するために、プルリクにこういうラベルをつけよう」といった話が、振り返りで出るようになりました。これは可視化への意識が芽生えてきているということだと思います。

今までエンジニアが自分の成果を話すとき、主観が強い傾向がありましたが、今は人に何かを説明するとき、数値化を意識する風潮が生まれてきています。そうした意識改革が行われて、チーム内で課題について話し合う文化ができつつあるところが、すごく良いなと思います。そのおかげか、まわりからも「Vistaチームは雰囲気が良い」と言われるようになりました。

――実際に「Findy Team+」で数値を見てみると、お話いただいた通りリードタイムが短く、特にオープンからレビューまでの時間は平均6時間と、導入企業さんのなかでもかなり短い方だと言えます。また、レビューの変更行数が今年4月ごろは1000行前後でしたが、直近はその半分以下で安定しています。このあたりの改善結果はどう見られていますか? Hacobu:インタビュー記事内画像 レビューサマリ 井田:確かに変更行数については、もっと減らせるのではないかと、自分から何度か話をしたことがあります。プルリクも平均すると短いのですが、人や場合によっては少し遅いケースもあるので、そういったときは1on1で触れていました。1on1では毎回、メンバー詳細のページを見ながら、1つ前のスプリントと今のスプリントで、パフォーマンスがどう変わったかを比較しながら話しています。

――メンバー詳細などを見て数字をもとにコミュニケーションを取るにあたって、気をつけているポイントはありますか?

井田:数字が良くなかったからといって、悪いと決めつけないように意識しています。あくまでも数字は判断基準のひとつであって、最終的に良い悪いを決めるのは人だと思うんですね。なので、数字が低かったとしても、何か大変だったことがあったのかなど、なるべく事情を聴くようにしています。

SPACEフレームワークに沿って、定性面も含めた開発生産性可視化へ

――「Findy Team+」導入当初、開発生産性を可視化することに対する考えがさまざまあったかと思いますが、振り返って今どのように感じますか?

井田:「Findy Team+」を導入して良かったと、すごく感じています。スクラムマスターも僕と同じで、最初は懐疑的だったのですが、今は入れてよかったと話しています。特に「Findy Team+」が、開発者にとって1つの議論の中心になったところが大きいですね。

課題だと感じられる部分が「Findy Team+」による可視化で明らかになり、数値を認識するだけでなくそこから会話が広がって、改善につながっていく。そういう雰囲気が生まれたところが、とても良かったと思っています。

――開発生産性の可視化に関して、今後トライしていきたいと考えていることはありますか?

井田:開発生産性を正確に捉えるために必要なものは、必ずしもGitHubから取れる数値がすべてではないと思っています。ビジネス的なKPIもしっかりと見る必要があるでしょうし、メンバーが気持ち良く働けているかといった、定性的な部分も可視化していく必要があるでしょう。

なので、今後は「Findy Team+」の活用を包含する、もっとスケールの大きな可視化に取り組んでいきたいと考えています。今進めているのは、SPACEというフレームワークを使って開発生産性を捉えていく取り組みです。

SPACEには5つの観点がありますが、それをいきなりすべてに手を付けるのは大変なので、優先的に見るべき観点を絞って可視化していこうとしています。その話し合いのなかで、メンバーの満足度が大事なのではないかという話が挙がったので、今チーム向けにアンケートを取って分析を進めているところです。

実際の取り組みのページをお見せすると、下図のようにSPACEの項目ごとに、どんなものが可視化できるかを列挙しています。Vistaの強みや弱み、あるいは現状どちらでもないものを色で表現して、このなかからどういった優先度で見ていくかを今検討しているところですね。

これを今後どう運用していくかはまだ固まっていないのですが、まずはやってみようと、良い意味で決めすぎることなく進められているところがいいと思っています。「Findy Team+」を入れたことがきっかけで、そういうマインドが生まれているのかなと感じます。 Hacobu:インタビュー記事 Vistaの強み・弱み ――最後に、組織のアピールポイントや、今後一緒に働きたいエンジニア像があれば教えてください。

井田:どんなチームを目指しているか聞かれたとき、僕はいつも決まって「幼稚園のようなチームにしたい」と言っているんですよ。幼稚園生って、これをやったら怒られるかなとか、そういうことをあまり考えずに、自分のやりたいことを正直にやっているじゃないですか。

子供の頃はそれができていたのに、大人になると「これをやると人に迷惑かかるから、やらない方がいいかもしれない」と考えるようになってしまう。その余計な気づかいが邪魔をして、新しいチャレンジができなくなっていると感じるんです。

僕はそういう新しいチャレンジに、もっと前向きに取り組んでほしいと思っています。幼稚園生のように、失敗してもみんなで笑ったり、みんなで興味を持って一緒に取り組みを進めたり。リファクタも、みんなでお片付けするような感覚でやっていったりとか。

そういう、わいわい開発できるような雰囲気をチームに求めていて、それを「幼稚園のようなチームにしたい」と表現しています。ぜひこういった内容に共感してくれる人が来てくれると嬉しいですね。

――井田さん、ありがとうございました! 2 笑顔IMG 8201 1 ※Hacobuの採用ページでは、エンジニアを積極的に募集しています。 https://career.hacobu.jp/

※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/service_introduction

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