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インタビュー

開発生産性の可視化によりレビュー数が4倍に。メンバーの成長を促進させるユーザベースの組織づくり

開発生産性の可視化によりレビュー数が4倍に。メンバーの成長を促進させるユーザベースの組織づくり

ソーシャル経済メディア「NewsPicks」などを提供する株式会社ユーザベースでは、エンジニア組織における個人の振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Team+」を活用いただいています。

今回は、「NewsPicks」の開発に携わるエンジニアの加藤さんにインタビュー。開発生産性の可視化への取り組みを始めた背景やチームでの取り組みの内容について、「Findy Team+」での実際の数値を見ながら、お話をうかがいました。

目次

「NewsPicks」のコミュニティ施策を担うチームを新設

――まず最初に、加藤さんのこれまでの主な経歴や、現在の業務内容について教えてください。

加藤:私は20年ほど開発職を続けています。SESやSIer、自社開発などさまざまな企業を経験したのち、地方(新潟)に住みながら、2022年9月に株式会社ニューズピックス(2023年7月に株式会社ユーザベースに法人統合)にジョインしました。

最初に配属されたのは、トピックスという、専門家の方がコメントを書いて発信できるコンテンツの開発を行うチームでした。そのチームはコミュニティ施策も担当しているチームだったのですが、コミュニティ施策を専任で担うチームを新たに立ち上げ、今はそのチームのリーダーをしています。

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――チームの立ち上げには、どのような背景があったのでしょうか?

加藤:トピックスとコミュニティの2つの施策を行うにあたって、チーム全体で見たときに、キャッチアップやコンテキストスイッチにコストがかかっている課題感がありました。そのため、それぞれにチームを分けた方が効率が良いのではないかという話から、期が始まる昨年1月のタイミングで、実際にチームを立ち上げることになりました。

――立ち上げ当初、チームは何名くらいの体制でしたか?

加藤:当初は4名でしたが、その翌月に入社が決まっていた人が1名いたので、すぐに5名になりました。年度の途中で6人になった時期もありましたが、今年からはまた少し体制が変わっています。

――チームで掲げているミッションについて教えてください。

加藤:今は体制変更により若干変わっている部分もありますが、コメントを書いてくれる人の体験を良くすることや、アクションしてくれる人を増やすことをミッションとしていました。「NewsPicks」には、記事にコメントしたり、記事をおすすめ・保存したりする機能があり、アクションというのは、そうした部分の利用を指しています。

――それに関して、OKRやKPIとして設定していた指標はありましたか?

加藤:最初はコメント数にフォーカスしていましたが、年度末ごろには週に何人がアクションしてくれるかを指標としていました。最終的には数字というより、施策を完遂するところを目指していましたね。

プルリクを通知する仕組みの見直しから取り組み開始

――開発生産性の計測への取り組みを始めた背景について教えてください。

加藤:チームの状況として、9月入社の私のほかに、11月入社のメンバーが1人、2月入社のメンバーが1名。あと2名は別チームから入ってもらっていたため、全員がドメインに関しての経験値が少ない状態から始まりました。チームも立ち上がったばかりで、チームとしての形がまだしっかりと定まっていなかったんです。

そうしたなかで開発を進めていると、やはり最初はしっくりきていない感じがあって。実際に、振り返りのなかでもレビューが遅いといった反省点などが出てきていました。なので、その課題に対する対応として、計測に取り組んでみようというのが最初のきっかけでした。

――どのような経緯から、「Findy Team+」を導入いただきましたか?

加藤:人が集まって雑談していたタイミングで、他チームが「Findy Team+」を使っているという話を聞き、見てみようという話になったのがきっかけです。

――そのときのチームメンバーの皆さんの反応はいかがでしたか?

加藤:おおむねポジティブな反応だったと思います。オンラインなので反応が見えづらい部分もありましたが、5人くらいで話していて「良さそうだね」という反応だったと記憶しています。

――「Findy Team+」を導入した当初、設定されていたゴールや数値目標はありましたか?

加藤:最初は何かを目指すというよりは、「ちょっと見てみようかな」という温度感で始めました。なので、レトロスペクティブのなかで数字を見てみて、例えばプルリクのオープンからレビューまでに少し時間がかかっているなとか、そういう見方をしていました。そのうちに、ただ見ているだけではなく目標を決めることになり、ひとまず組織の平均を目指してみようという話になりました。

――目標を設定されてから、チームではどのように取り組みを進められましたか?

加藤:もともとメンバーの体感として時間がかかっている感覚があり、それと一致していたので、何かできることはないかとメンバーのなかで話し合っていきました。そして、まずはプルリクが上がったら通知される仕組みなど、基本的なところから見直していきました。

取り組みとしては、例えばGitHubのTeam機能を使って、よく開発するいくつかのリポジトリにTeamを設定し、レビュアーにTeamを指定できるようにしました。ラベルもつけられるようにして、ラベルがついたプルリクで未レビューのものや、アプルーブされたのにマージされていないものが通知されるようにしています。

そのほかにも、プルリクに対するアクション、例えばコメントやレビュー依頼が来たときに、Slackで通知するとか。そういった、なるべく早く気づくための仕組みを少しずつ整えていきました。

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――仕組みの見直し以外にも、レビューの優先度を上げていく意識づくりとして工夫されたことはありましたか?

加藤:朝会のアジェンダを見直して、上がっているプルリクについて確認するようにしました。Slackに通知が来ているので、何かリリースしていないものがないか、そこで確認するようにしています。

あと、レビューの時間を設ける取り組みも試してみたのですが、これはみんなそれぞれ好きな時間にやりたいということで、上手くいかなかったですね。最終的に、朝会後にレビューしようというゆるい感じがちょうど良くて、そこに落ち着きました。

それ以外には、メンバー個別に本人の成長も兼ねて、積極的にレビューしてみようと声掛けする取り組みもありました。やはりレビューをすることでコーディングのスキル向上につながります。

それだけでなく、みんなまだドメイン知識が不足している部分があったので、レビューすることによって、メンバーが何をやっているのか、どういう仕組みになっているかなどのキャッチアップにもつながります。複数人でレビューしたりするので、もちろん時間はかかるのですが、必要なことだと意識して取り組んでいました。

――レビューへの意識が変化したことで、品質面などにも良い影響はありましたか?

加藤:品質面で言うと、レビューを早くしようとすると、プルリクを細かくするところに行き着くと思うのですが、その結果として見やすくなりますよね。なので、それを目指すことによって、結果的にプルリクが小さくなり、品質向上につながる面はあると思います。

ある程度の開発経験があれば、プルリクのサイズを細かくすることに理解があると思いますが、それを経験が少ない人に伝えるのは難しい。なので、レビューに関する数値を目指した結果、品質向上につながるというのは、1つの良い方法かなと思っています。

「Findy Team+」のグラフで見る、チームやメンバーの成長

――実際に「Findy Team+」で、取り組み開始前の2月から5月までのグラフを見てみると、3月前半ごろからリードタイムが落ち着き始め、プルリク作成数が増えています。このころのメンバーの皆さんの実感や反応はいかがでしたか?

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加藤:そのころは、メンバーと1on1でもレトロスペクティブでも、良くなってきたという声が増えてきた感覚がありました。具体的には、例えば「レビューがやりやすくなった」とか、「早く見てもらえて助かる」とか。あとは、「指摘したあとの対応が早くなった」とか、そういった声が上がっていました。

――組織の平均を目指すというお話もありましたが、こうした数字の変化をどのように捉えていましたか?

加藤:良い意味で“良いとこ取り”というか、もし仮にあまり良くない数字が出ていたとしても、あまりネガティブに捉えすぎる必要はないと考えていました。良いところを見たほうが、気持ちも上向くので、そういう使い方もありなのかなと。数値を把握すること自体に一定の意味はあると思いますが、必ずしもそれがすべてではないとも思うので、ほどよく活用しています。

――レビュー数のグラフを見ると、9月から12月にかけて大きく伸びているメンバーの方がいらっしゃいます。かなり意識して取り組まれたのかと思いますが、いかがでしょうか?

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加藤:彼は私のあとに入社したメンバーなのですが、半年で大きく変わっていて、数字を見なくても明らかに変化していることがわかりました。

まず彼には、振り返りの習慣を大事にするために、日や週の単位での予実をつけてもらっていました。例えば、午前にレビューをして午後に開発するという予定を立て、実際にはどう時間がかかったかという実績をつける。それに対して、なぜ予定より延びてしまったのか、あるいはなぜ早く終わったのかを一緒に見ていました。

彼はドメイン知識も経験も多くなく、コーディングのスキルも必ずしも高くありませんでした。やはりコードを見るには、ドメイン知識やコーディングのスキルが必要だと考えられるので、彼はもともと自信のなさから、人のプルリクに対してレビューすることがなかったんです。

なので、まずは自分のコードを見たときに、他人がどう感じるかを考えて、コメントを入れてみるところから始めました。それが9~10月あたりですね。それができてきたら、次は人のプルリクに対してメモを書いてみるという段階を踏んでいき、着実にレビュー数が増えていきました。

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――取り組みを経て、この変化をご本人はどのように実感されていましたか?

加藤:1日1レビューを心がけてやってくれていたのですが、彼自身も成長を感じていました。また、弊社では半期に一度、一緒に仕事をしたメンバーからフィードバックをもらう360度評価を行っています。そのコメントを見ても、みんなからレビューについて高く評価されていて、そういったところからも明らかに変わったことがわかりました。

数字が良くなることをゲーミフィケーション的に楽しめる

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――取り組みを通じて、開発生産性を可視化するベネフィットをどういったところに感じられていますか?

加藤:意外と良かったなと思うのは、雑談のネタになることですね。弊社は基本フルリモート勤務ですが、チームには月1回の出社推奨日があり、みんなが集まる機会があります。そういう場での話題になるところが良いなと思っています。

それから、現状を知るという意味では、他チームとの比較ができるところ。弊社はチーム数が多く、13~14くらいの開発チームがあります。他チームの数字を見て、大きく違いがあれば、どんな違いがあるのか、それが合理的な理由によるものなのかを確かめられる。もし比較して数字が良いチームがあったら、「どんな取り組みをしていますか?」とコミュニケーションするきっかけにもなります。

あとは、やはり始めた当初は数字で見ても悪いことがわかったので、一定の現状把握ができるのは良いことだと思います。さらに、ゲーミフィケーション的な要素として、単純に数字が良くなっていると嬉しいという感覚があります。メンバーの特性にもよるとは思いますが、そこはみんな楽しんでやってくれていたので、私たちのチームには合っていたのかなと感じますね。

――可視化の取り組みや「Findy Team+」の活用について、今後のトライとして考えられていることがあれば教えてください。

加藤:「Findy Team+」は、私自身もまだ知らない機能があるなど、使いこなせていない部分があります。随時追加されていく機能のキャッチアップも含めて、しっかりと学んだうえで活かしていきたいと考えています。

ファインディさんとの「Findy Team+」活用法のミーティングで出てきたトピックをもとに、社内の他チームとも情報交換をしながら、さらなる活用の可能性を考えていけたらと思っています。

――それでは最後に、御社の組織のアピールポイントや、一緒に働きたいエンジニア像を教えてください。

NewsPicks のエンジニアカルチャーとして、ユーザへの提供価値を最大化することを重視し、エンジニア自身もプロダクトの改善案を考え、実装していくという事業にコミットすることを重視したプロダクト志向のエンジニアが多い組織となっています。社内のコンテンツクリエイターやマーケターともフラットに意見交換できる組織で、普段から職種を超えて協力しながらプロダクト開発を推進しています。そのためエンジニア組織の構成も、モバイルやバックエンドなどの職能ごとではなく、サービスや機能単位でチームをつくる、ミッションベースの組織体制になっています。

また、私が所属するエンジニア部門ではエンジニアに対するサポート制度も充実しており、技術書などの購入サポートはもちろんのこと、入社後6カ月間にわたって毎月1回、CTOに1on1の時間を割いてもらう制度があったり、他部署の先輩に助言や指導をお願いできるメンター制度、コーポレート部門に日々の困りごとに対処してもらえる相談窓口があったりします。

リモートワークをサポートする制度も手厚くなってきているので、私自身を含め、地方在住のメンバーもいます。ここには、多様なバックグラウンドを持つ人たちを迎え入れる柔軟性に富んだカルチャーがあり、チャレンジを推奨する開発環境もあります。もしNewsPicksに少しでも関心があるなら、ぜひ気軽にカジュアル面談を受けてみてください。私のようにそれまで想像しなかった未来が開けるかも知れません。

――加藤さん、ありがとうございました!

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※「Findy Team+」のサービス詳細は、以下よりご覧いただけます。 https://findy-team.io/

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