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定量目標を設定してスピード感のあるユーザー価値提供を目指す取り組みについてワンキャリアさんに聞いてみた

定量目標を設定してスピード感のあるユーザー価値提供を目指す取り組みについてワンキャリアさんに聞いてみた

はじめてのキャリアを選ぶ、就活サイト「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリア。エンジニア組織における個人の振り返りや組織の課題発見に、エンジニア組織支援クラウド「Findy Teams」を活用いただいています。

今回は、CTOを務める田中さんと、エンジニア組織づくりのリーダーを務める宇田川さんにインタビュー。実際に「Findy Teams」上でのデータを参照しながら、エンジニア組織における生産性向上への取り組みなどを伺っていきます。

目次

2人のこれまでの経歴と主な業務内容

──最初に、お二方のこれまでの簡単なご経歴と、現在の主な業務内容を教えてください。

田中:大学在学中に起業した会社に5年勤めた後に、ワンキャリアに入社しています。起業した会社では、P2Pの技術を応用してWebコンテンツの発信を最適化するソリューションを作っていました。コアの技術を開発して3年で買収された後は、アドウェイズのグループ傘下で、いろいろなチームと共同でサービス開発をしていました。

その後、ワンキャリアに1人目の正社員エンジニアとして入社し、現在4年目になります。仕事内容として、これまで一貫して行ってきたのは、開発を内製化するための体制づくり。エンジニア組織の設計や採用はもちろんのこと、フリーランスのエンジニアと一緒に開発を進めるためSESの商談に出たりしながら、社内のリソースを調達してきました。

最近はコードを書くエンジニアが増えてきたので、自分でコードを書くというよりも、プルリクエストのレビューや、開発計画を立てて予算を策定するなど、経営寄りの仕事の比重が大きくなってきています。

宇田川:私は大学で土木を専攻していて、新卒で県庁に入り、土木系の公務員職に就きました。その後、エンジニアになるべくスクールに通い、2020年9月にワンキャリアにジョインしました。入社して1年半になります。

業務に関しては大きく2つで、1つ目は開発業務。バックエンドを中心に、フロントエンドの繋ぎ込みなどをしています。プロジェクトとしては、社内システムのリプレイスにも携わっています。

2つ目が組織づくりで、エンジニアの生産性向上に関するところを、私がリーダーとして進めています。例えば、エンジニアの生産性について定義した上で、それをエンジニアの評価制度に組み込むといった取り組みをさせていただきました。

エンジニアが増え、体制が変化した2021年を振り返る

──まずは2021年の振り返りについてお聞きしたいと思います。チームで変化があった部分など、いかがでしょうか?

田中:いろいろありますが、1つは正社員エンジニアの数が増えたことが大きかったと思います。人数が増えたことで、今までは後回しになっていた評価やパフォーマンスのチェックを、しっかりと体制を整えてやっていく必要が出てきました。

──具体的な人数としては、どれぐらいの変化がありましたか?

田中:2021年1月時点では自分を含めてエンジニアは4人でしたが、2022年1月時点では7人になっています。自分含めて4人の時は、マネジメントの対象が3人なので何かあってもサポートできていました。ところが、対象が6人になってくると、自分の業務もある中では、サポートしきれない部分が出てきたという感じですね。

──宇田川さんはいかがでしょうか?

宇田川:2021年はエンジニアの人数もチーム数も増えたので、チーム運用のルールが整ってきたと思います。ドキュメントの残し方やレビュー方法などがルール化されて、田中さんがマイクロマネジメントをしなくても、各チームで運用できる状態になってきました。

──それでは、実際にFindy Teamsのデータで変化を見ていければと思います。棒グラフがプルリク作成数、折れ線グラフがリードタイムを示しています。2月のリードタイムが大きく伸びていますが、これはどういった理由が考えられますか?

【組織全体のFindy Teamsチームサマリーデータ(2021年1月~12月)】
※棒グラフはアクティビティ量を示しているため高いほど良く、折れ線グラフはリードタイムを示しているため低いほど良い

田中:開発プロジェクトが増えてきたり、進捗が伸びてきたりして、エンジニアリングマネージャーが見切れなくなっていた部分が多少あったかなと。結構細かくプルリクのレビューをしていたのですが、プルリク作成数にレビュアーが追いつかないということが起きていたように思います。

あとは、社内システムのリプレイスですね。既存のシステムへの影響が大きなものだったので、ある日に一気に切り替えるような、リリーススケジュールのコントロールが必要でした。それに向けて、プルリクエストが溜まっていた時期だったので、そういった要因が重なってリードタイムが長くなっていたと思います。

──6月末から7月にかけては、リードタイムを抑えながらも、プルリク作成数が最大化されています。この理由として思い当たることはありますか?

田中:中途向けサービス「ONE CAREER PLUS」の、β版リリース直前の時期に当たります。リリース前の追い込みで、バグフィックスのプルリクをたくさん作っていくのですが、完全にゼロから作ったプロジェクトだったので、コードレビューはあまり複雑なところがなくスムーズに進みました。つまり、リリース直前の案件によるものです。

──先ほど触れた2月以降は、リードタイムが200時間を下回る状態がキープできています。リードタイムを少なく安定させられている理由として、考えられることはありますか?

田中:体制面で言うと、経験のあるエンジニアが途中でジョインしたことによって、レビューの負担が分散しました。加えて、チーム内での相互レビューも活性化したので、それによって効率が上がったのではないかと思っています。

宇田川:相互レビューについては、一部のチームでやっていたものを2021年の後半にはルール化し、複数人で相互レビューすることをマストにしました。それから、プルリクエストを出したらSlackで通知することもルール化して、レビューまでの時間を抑えられるようになったと思います。

チーム間の比較データから、指標ごとの差をチェック

──続いて、こちらは御社のデータをチームごとに比較した表になります。各項目ごとに、緑色が濃いほど過大な可能性があることを示しています。こちらからはOCチーム(就活サイトONE CAREERの開発チーム)のリードタイムが短いことが読み取れますが、何か具体的な取り組みはされていますか?

【チーム間の比較データ】
※組織全体を1としたときの比で表現、21年11月のデータを12/29時点で取得して活用

田中:OCチームのリードタイムが短いというのは、あまり実感はなかったですね。もともとOCチームは外注が多かったチームで、直近半年はそこから内製化に振り切ってきたので、それに伴ってプルリクを作る人とレビューする人の連携がよりスムーズになったことが影響しているかなと思います。

宇田川:OCチームは私が属しているチームで、率先してレビューをすぐ見るようにしています。同じチームのエンジニアマネージャーも、すぐにレビューするような取り組みをしているので、それがリードタイムの短さに繋がっていると思います。

──一方でOCチームのネガティブな部分として、レビューされずにマージされた割合が高くなっています。このあたりについてはいかがでしょうか?

田中:弊社ではステージング環境で動作確認した後に、本番環境へのマージを行っています。ステージングで確認した後、本番に移すためのプルリクを作るのですが、それはすでにチェックが終わっているので、そのままマージしたりしています。そういった数も含まれていますか?

──その通りです。なので、その影響から数値が高く出ている可能性がありますね。

田中:そういった数は他のチームに比べて多いと思うので、そこも影響しているように思います。

──ちなみに、上記の表で御社内の定例で確認されている指標の中に、プルリクあたりの平均コメント数が入っていましたが、これはどういった理由から見られているのでしょうか?

宇田川:プルリクあたりの平均コメント数は、チームの中でコミュニケーションコストが上がっていないかどうかを見ています。ただ、そこに対して具体的なアクションが決められているわけではないので、今後検討が必要な部分だと考えています。

Findy Teamsの導入後、リードタイムへの意識が変化

──OCチームは宇田川さんが属されているチームということで、さらに深堀りしてお伺いできればと思います。OCチームの2021年のデータを見ると、2月にプルリク作成数が大きく伸びていますが、このあたりに何か変化はありましたか?

【OCチームのFindy Teamsチームサマリーデータ(2021年1月~12月)】
※棒グラフはアクティビティ量を示しているため高いほど良く、折れ線グラフはリードタイムを示しているため低いほど良い

宇田川:先ほどお話ししていた、一気にリリースする必要があったプロジェクトのプルリクがOCチームの中にもあったので、その影響だと思います。

──11月以降にも、プルリク作成数が2倍近く伸びているように見えます。このあたりで思いあたることはありますか?

宇田川:リプレイスのプロジェクトを進めていて、そのバグフィックスをしていました。なので、小さめのプルリクがたくさん増えていた期間だと思います。

──この期間は、リードタイムが最も低い水準にありますが、これについても小さいプルリクが多かったことが理由になりそうでしょうか?

宇田川:そうですね。バグフィックスのために、すぐにレビューしてステージングで確かめるということを繰り返していました。

──グラフ全体を見ると、年末にかけてリードタイムがピークの2分の1ほどに短縮されています。宇田川さんの目線で、こうした数値を振り返っていかがでしょうか?

宇田川:2021年9月頃からFindy Teamsを利用させていただくようになって、それ以降リードタイムに関しては、意識するよう各チームに繰り返し伝えていました。

このチームだけを見ても、上半期と比べるとかなり下がっているので、その成果が出ていると感じます。やはりこうして定量化されると、目に見えて変化がわかりやすいので、周囲の意識も変わったと思います。

指標を評価制度にも活用、さらなる改善へ活かす

──今後も生産性の高い組織であり続けるために、取り組んでいきたいと考えていることはありますか?

宇田川:すでに取り組み始めているのが、評価制度に関してです。今期から評価において、プルリクをいくつ出しているか、レビューを何回しているかなど、さまざまな指標を見るようにしていて、その時にFindy Teamsを活用させていただいています。

──目標設定はメンバーごとやチーム全体など、どういった方法で設定をされていますか?

宇田川:各個人の目標に組み込んでいます。あとは、業務委託の方も多いので、評価には関わらないのですが、チームで目標とする数値を設定したりもしていますね。

──田中さんからも、目標設定などの部分で考えられていることがあればお願いします。

田中:Findy Teamsで見ている指標が経営にどうインパクトがあるのかは、これから整理していかなければならないところだと思っています。経営陣にとっても、開発組織の状態やパフォーマンスを見るための良いツールになるように、どういう見方をしていくべきかをちゃんとディスカッションしながら、経営に役立てていきたいと考えています。

──組織全体として、今後目指していきたいと考えられているチーム像はありますか?

田中:より速く作って速くデリバリーするという意識は、プロフェッショナルなエンジニアとして持つべきものだと思いますが、全員がそうした意識をしっかりと持って、より速くユーザーに価値を届けられるようなチームを目指していきたいと考えています。

Findy Teamsのように可視化できるツールがあるおかげで、みんながより洗練されたプロフェッショナルになる手助けになっていると感じます。しっかり指標を見ながら日々ディスカッションして、改善し続けていきたいですね。

──今後、御社ではどういったエンジニアの方に来てほしいと考えているか、期待するエンジニア像があれば教えてください。

田中:リーダー層とメンバー、それぞれにあります。リーダー層で言うと、こうした事業の状態が評価できるツールを活用しながら、技術開発部全体の業務設計をして、みんなの興味やパフォーマンスの方向性を揃えていけるエンジニアリングマネージャーを求めています。

メンバーで言うと、ダッシュボードで見える指標をどんどん引き上げてくれるような、実装力があるスペシャリスト。もしくは、ディスカッションしながら改善のPDCAを回して、組織全体の生産性を底上げしてくれるようなエンジニアですね。

加えて、どのポジションにも共通して言えることとして、「変化を楽しめる」エンジニアは大歓迎です。事業も組織も、今後引き続き変化していくので、そのときどきの状況に応じて必要なプロダクトや体制を整えていけるような方を探しています。

そういう方に入っていただけると、自走しながら改善していけるチームになると思うので、ぜひ弊社に興味を持っていただけるとありがたいです。

──田中さん、宇田川さん、本日はありがとうございました!

※Findy Teamsのサービス詳細は以下よりご覧いただけます。 https://findy-teams.com/service_introduction

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